はるの魂 丸目はるのSF論評


星の海のミッキー

BARBARY

ヴォンダ・N・マッキンタイア
1986


 ジュブナイルである。主人公のバーバリ(BARBARY)は、不幸の少女。孤児で、地球上のあちこちの家庭をたらい回しされ、いつもソーシャルワーカーにテストされていた。死んだ母の友人夫婦が宇宙ステーションに彼女を引き取ることになる。しかし、バーバリには誰にも言えない秘密が。地球に置いておけば処分される捨て猫のミッキー。宇宙ステーションまで密輸に成功したものの、新しい妹ヘザーと同室となることが分かって愕然。どうしよう! 一方宇宙ステーションは、異星船を発見し、秘密裏に接触するため、国連やアメリカ大統領などがこぞってやってきていて大混乱。
 もちろん、ご都合主義である。もちろん、最後は、なんとかなる。だから、どきどきしながら、安心して読もう。
 今回、再読で「夢の蛇」と続けて読んだのだが、共通するところも多い。主人公は最後まで努力を続ける。最後の最後に、本人には思いもよらない助けが来る。信頼している動物がいる。信頼できる仲間が同行する。物語のパターンである。
 ま、そういうことはどうでもいい。
 孤児、猫、新しい妹、秘密、大きな事件、大円団。
 いいではないか、いいではないか。
 宇宙ステーションでの生活や移動、感覚などの表現は手抜きしていないので、大人の人も楽しく読んでください。


(2004.6.30)



TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
(スパム防止のため、全角表記にしています。連絡時は、半角英数にてお願いします)

作家別テーマ別執筆年別
トップページ