はるの魂 丸目はるのSF論評


神の目の小さな塵

THE MOTE IN GODS EYE

ラリー・ニーヴン&ジェリー・パーネル
1974


 異星人とのファーストコンタクトものである。
 そこは、ニーヴン。時は3017年。人類は、オルダースン航法により、いくつかの恒星間を瞬時に旅する技術を手にして2020年から宇宙移民を開始していた。2250年に、第一次の人類帝国が誕生するものの、2063年には分離戦争がはじまり、2903年にようやく第二次人類帝国が宣言され、以後110年に渡り、各地の反乱を平定し、帝国に組みこむための宇宙戦争が続いていた。そこに、はじめての異星人である。
 なんとまあ。希有壮大な。
 人類ばかりの「スターウォーズ」の世界に突然、知的異星文明との接触が行われるのである。しかし、この異星文明はまだオルダースン航法を見いだしてはいなかった。
 それ以外は、戦争もない1万年以上もの長きに渡って文明を維持してきている。
 はたして、彼らは敵か、味方か。人類と共存できるのか?
 今、人類社会と異星文明の将来を背負って、ひとりの青年貴族の海軍将校ロッド・ブレインが旅立つ!
 反乱の起きた惑星で長きに渡って拘束されてきた若き貴族の娘で人類学者のサンドラ・ファウラー嬢、その反乱の黒幕と目を付けられている大商人ホレス・フセイン・ベリーら、脇も怠りなし。
 どどーん。
 ドク・E・E・スミス(レンズマン、スカイラークシリーズ)ばりのスペースオペラである。異星人の生態や社会、宇宙船の航行など随所にハードSFとしての醍醐味があふれている。ゴシック風な筋立てで、しっかり70年代SFを身にまとっているのだ。
 ラリー・ニーヴンは本当にSFが好きなんだなあ。

 ああ、SFが読みたい。この世のうさを忘れて、宇宙を飛び回り、様々な危機に出会いたい、そんなあなたにこの1冊(いや、日本版だと2冊だが)をお勧めしたい。  頭の中で、映画でさえ追いつかない壮大なドラマをあなたに!


(2004.12.23)



TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
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