はるの魂 丸目はるのSF論評


ゼロ・ストーン2未踏星域をこえて

UNCHARTED STARS

アンドレ・ノートン
1969


 本書「ゼロ・ストーン2 未踏星域をこえて」は、前作「ゼロ・ストーン」の続編であり、後編である。本作品は、前作品で残った謎であるゼロ・ストーンが産出された場所を探して、主人公の青年マードックと不思議な石を飲んだ猫から生まれた知的生命体のイートが冒険する物語である。前作ではれてパトロールの容疑をむりやりに晴らし、さらには、賠償金までせしめて宇宙船を購入したマードックとイート。ところが、宇宙船を飛ばすには操縦士が欠かせない。しかし、正規の操縦士は見つからないし、海賊ギルドはあいかわらず彼らを捜しているし、メンツをつぶされたパトロールも彼らのことをよく思ってはいない。なんとか探し出した操縦士は、酔っぱらいのジャンキー。それでもいないよりはましと宇宙に飛び出し、宝石商見習いマードックは、まずは、資金稼ぎと未開の惑星に降り立ち、はじめての貿易に挑戦。これがなかなかうまくいかないものだが、なんとか、お金を作りながら、本来の目的であるゼロ・ストーンの謎を探そうとする。しかし、あいかわらず止まらない海賊ギルドの追跡。さらには、誰がしくんだのか、マードックとは正規の商売ができないような通達が各地に届いていた。本来ならば裏街道まっしぐらのマードックだが、そこは、イートがいてくれる。
 イートに依存しすぎる自分を戒めながらも、イートと離れることはなく、目の前に起こる出来事に精一杯対処しながら、成長するしかないマードック。
 大丈夫、最後には驚くべき結末が用意されているから。
 そうか、1960年代の終わりを迎えて、ついにノートンも、こういう結末を出すようになったか。それにしても、最後の数ページは、まったく必然性がないよなあ。
 ということで、気になる人は、「ゼロ・ストーン」を読んだ上で、本書をお読みいただくとよい。なお、一応、本作品の冒頭は、前作品の概要になっているが、やはり、まずは、前作品を読んでからの方がよい。
 最後の結末はともかく、まったくのノートン作品であり、安心して、軽く、気軽に、読んで欲しいSFジュブナイルである。

(2005.5.28)




TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
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