はるの魂 丸目はるのSF論評


銀河北極
GALACTIC NORTH and DIAMOND DOGS, TURQUOISE DAYS

アレステア・レナルズ
2002,2006



「レヴェレーション・スペース1 火星の長城」に続くアレステア・レナルズの短編集「銀河北極」である。中編集「DIAMOND DOGS, TURQUOISE DAYS」(2002)と短編集「GALACTIC NORTH」(2006)を日本で時系列的に合わせて「啓示空間」「カズムシティ」と同じレヴェレーションシリーズの集大成として翻訳出版された中短編集である。
連接脳派、ウルトラ属、無政府民主主義者といった人類3種属だけでなく、これまでのシリーズで登場したパターンジャグラーやハイパー豚、デニズン、ハマドライアドなど様々な知的/非知的生命体が登場し、最後は既知宇宙の終わりにまでたどり着くという作品群。長大長編「啓示空間」「カズムシティ」を読み切っていたゆえに楽しめるところもあるが、この2作品を読んでいなくてももちろんおもしろく読める作品たちである。
 レナルズは、短ければ短いほどおもしろい。
 短編を読めば分かるのだが、レナルズの作品の落ちは辛辣である。イギリス人らしいブラックユーモアで笑えるんだか笑えないんだか分からない。短編を読んでみると、長編も同じような気持ちで書いているのだと思う。ふりの長い短編のようなものなのだ。それにつきあうイギリス人はすごい。

 私は、パターンジャグラーが好きである。スタニスワフ・レムの「ソラリス」そのままである。そういう不定形でありながら、生態系全体をひとつの生きものとして存在しひらひらしたはかない生きものはいい。


(2007.12.30)



TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
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