はるの魂 丸目はるのSF論評
フラックス
FLUX
スティーヴン・バクスター
1993
中性子星にある目的を持って送り込まれた、改造された人類。身長(体長?)わずか10ミクロン程度。中性子星のある部分で、人は生まれ、育ち、子を産み、そして、死んでいった。目的は記憶され、やがて忘れられ、あるものは記憶し、口述し、あるものは記録を捨て、新たな都市を築き、追放し、追放され、辺境でかつかつの暮らしをし、時に都市に回帰し、都市はさびれ、復興する。
その日が来るまでは。
突然、中性子星に異変が頻発するようになった。
その異変が原因で、ひとつの部族が崩壊の危機に見舞われ、若きリーダーとなった女性は、部族を救うべく弟、長老らと旅に出る。しかし、連れのひとりの長老が怪我を負い、通りかかった初めて見る「都会人」に救われ、弟ともども都市の中で暮らすはめになる。都市でも異変は起きており、世界が変化の予感を秘めていた。
「ジーリー」年代記の中でも異色中の異色、中性子内部に生きる人類の末裔の物語である。ジーリーの物語を知っていようが知っていまいが、それはかまわない。中性子内部に生きるというのはどういうことか、見てきたように語られる。すごいなあ、頭いいんだなあ。びっくりしちゃうよ。ホント。
おもしろいなあ、よくこんなこと考えつくよなあ。楽しいな。
(2009.08.22)
TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
(スパム防止のため、全角表記にしています。連絡時は、半角英数にてお願いします)
●作家別●テーマ別●執筆年別
トップページ