はるの魂 丸目はるのSF論評
宇宙の一匹狼
ROGUE IN SPACE
フレドリック・ブラウン
1957
ブラウンの長編小説「宇宙の一匹狼」である。初読。古本屋さんで500円で買った。定価は200円。1966年初版で、74年に13版を数えている。古き良き時代。
元宇宙飛行士のクラッグは、犯罪歴のある男。地球の第二の都市で麻薬所持の疑いによって逮捕され、精神改良所送りの刑になるところを、太陽系調整官の職を狙う大政党のリーダーによって解放された。その引き替え条件が、彼の仕事を手伝うこと。あるものを火星の発明工場から盗み出して欲しいという。それは、クラッグほどの能力と知性と強い意志力を持った男にしかできないことであった。
一方、大宇宙では人類が誕生するはるか以前にひとつの知性が誕生していた。それは一個の小岩石であり、長い時間をかけて知性を、思考力を、様々な能力を獲得した独立した存在である。それは、宇宙を渡り歩き、他の「知性」を探していたが、そのようなものは見つからず、宇宙に存在する知性体は自分のみであると判断していた。それが、ちょうど太陽系に入ろうとしていた。
やがて、ある事件が起き、女と出会い、女と別れ、クラッグと岩石が出会い、別れ、そして、太陽系に新しい惑星が誕生する。クラッグの惑星である。
まあ、安心して読んでください。古きハードボイルドな「男のための」SFである。
入手困難だが、最近フレドリック・ブラウンを見直す動きがあるので、そのうち読めるかもしれないよ。
(2009.09.02)
TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
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