はるの魂 丸目はるのSF論評
第五惑星の娘たち
THE GIRLS FROM PLANET 5
リチャード・ウィルスン
1955
マレイ・ラインスターの「第五惑星から来た4人」(1959)は、子どもの頃読んだのだが、こちらの「第五惑星の娘たち」は初読である。古本屋さんで入手したのである。読みたかった1冊であった。「第五惑星から来た4人」の方は、未来からの訪問者が、冷戦状況の世界に波紋を投げかける物語であったが、「第五惑星の娘たち」は、宇宙からの来訪者であり、女性の社会進出を「風刺」する物語である。
舞台は20世紀末、政治、経済をはじめ、あらゆるところで女性が権力を握り、男性の力は衰えていた。そんな風潮を嫌った男たちの一部は、テキサス州を「男の州」として、古き良き、男の時代を生きていた。そこにやってきたのが、「宇宙から来た美女たち」である。
今、こんな本を出したら、えらいことになるだろうなあ。
笑えるのが、解説の最後である。翻訳・出版されたのは、1965年。私が生まれた年、45年前。あくまでその当時の話であることを斟酌いただきたいのだが、「考現学的にいうと、日本はだいたい10年遅れてアメリカの流行に追従しているそうだが、もしそうだとすれば、21世紀の初めには、日本にも女性支配の時代、男性の女性か時代が到来するかも知れない。SFファンのみならず、邦家の行く末を案ずる憂国の士にも本書をすすめるゆえんである」とある。そういう時代であった。
(2010.05.10)
TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
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