はるの魂 丸目はるのSF論評


愚者の聖戦
THE WORLDS OF CLIFFORD SIMAK

クリフォード・D・シマック
1960



 シマックの短編集である。短編集になるととたんにウィットが効く作家である。
 姿なき別次元との交易がはじまった。その秘密を握るのはほんの2家族だけ。大もうけの結末は「ほこりまみれのゼブラ」。
 不思議な不動産取引で、もうけを保障された不動産屋。しかしあまりの不思議さに、その真実を追究したところ「カーボン・コピー」。
 地球を逃亡し、新たな植民星にたどり着いた不死人に待ち構えていた真実「建国の父」。
 突然、超能力を得た知的障害児が起こしたのは「愚者の聖戦」。
 ある日人類はちょっと先の未来が予知できるようになってしまった。世界はおだやかに変わる「死の情景」。
 ぐったりとなった不思議な植物。男は、手をつくして介抱した。その植物は「緑の親指」。
 シマックらしいやさしさが、笑いにも、悲しみにもあふれている。

(2010年7月24日)




TEXT:丸目はる
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