はるの魂 丸目はるのSF論評
木星プロジェクト
JUPITER PROJECT
グレゴリイ・ベンフォード
1980
木星の惑星ガニメデのテラフォーミングがはじまった。そして、ガニメデと同じ軌道上には「ブリキ缶」が浮いていた。木星天文生物軌道研究所(JABOL)が正式名称の数百人が暮らし、研究する宇宙の孤島である。木星にいると推定される生命を探すこと、それがこの研究所の目的。長期にわたる研究活動のために、家族連れが多い。主人公のマット・ボウレスも子どもの頃地球から家族とともにやってきて、まもなく18歳となる、「ブリキ缶」しか知らない男の子。
地球は、人口増加が止らず、飢餓と配給の世界へ。仕事が少なく、危機的な状況になっていた。そんな中で、食べ物には(それほど)困らず、全員に仕事があり、人類の夢を乗せた辺境の「ブリキ缶」。しかし、実際には、単調な宇宙空間の日々が続くだけである。
人は、慣れるのだ。どんな環境でも。
そして、人は育つのだ。どんな環境でも。
環境が人を作る。人が環境を作る。
ところで、ガニメデに生命がいるかなあ。
火星にもいそうだよね。
意外と生命って、氾宇宙的かも。
早く、木星プロジェクトでも立ち上がらないかしらん。
(2011.2.14)
TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
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