はるの魂 丸目はるのSF論評


スモーク・リング
THE SMOKE RING

ラリイ・ニーヴン
1987



「インテグラル・ツリー」の続編。前作の最後で、新しいインテグラル・ツリーに到着し、新しい世界を切り開こうとしたギャヴィングら。それから10数年、子どもたちが生まれ、育っていた。人口14人のシチズン・ツリーは、ふたりの科学者をかかえ、それなりに平穏な日々を過ごしていた。そこに、「きこり」の一家が木の火災によって遭難、シチズン・ツリーの人たちによって救い出される。彼らによると、アドミラルティという町があり、たくさんの人々がひしめきあって暮らし、市場があって、地球産の植物も得られるという。この情報をめぐってシチズン・ツリーの大人達の議論は分かれていく。このまま静かに自立的に生きていくか、新しい知識や種子、道具を得るか。
 さらに、もともと人類をスモーク・リングまで運んできた播種・調査船「規律」号をコントロールし、人類の「反乱」によって残されてしまった人工知能ケンディの思惑が加わる。ケンディは、反乱した人類の末裔たちをふたたび統合し、規律の下に返したいと願っていた。そのためには、都市アドミラルティの状況をつぶさに知る必要がある。唯一ケンディと接触のあるシチズン・ツリーのメンバーをアドミラルティに行かせる必要がある。
 さあ、どうなる、シチズン・ツリー。
 そして、ケンディの秘密とは。

 不思議な、不思議な、物理空間は、実はとてもすごい空間。
 リング・ワールドとは違う世界。
 読むと楽しくなること請け合い。



(2011.08)




TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
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