はるの魂 丸目はるのSF論評


連環宇宙
VORTEX

R・C・ウィルスン
2011



「時間封鎖」「無限記憶」に続く三部作の最終刊。大満足である。ああ、おもしろかった。でも、大落ちがもったいない。もっと読みたいのに、きちんと終止符が打たれた。
 舞台は、時間封鎖と無限記憶の間の世界。そして、登場人物の少年オーリン・メイザーが書いたノートには、1万年後の世界が描かれる。それは、「無限記憶」で登場したターク・フィンドリーのその後でもあった。交互に描かれる世界。「時間封鎖」でも「無限記憶」でも明らかにされなかったすべてがここで明らかにされ、そして、救済される。
 新たなる神の登場。
 それは、残酷な機械の神なのだろうか?
 情報と生命と宇宙を扱った21世紀頭の小説として、秀逸である。
 ストロスなど他の作家のSFを読みたくさせる力も持つ。
 21世紀初頭を代表する作品群であることは間違いない。
 とにかく読んで。
 いろいろ書きたいのだが、書かない。
 これは読む本だ。



(2012.6)




TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
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