はるの魂 丸目はるのSF論評


成長の儀式
RITE OF PASSAGE

アレクセイ・パンシン
1968



(TW)地球の人口の読みがするどい。解説や訳者あとがきにいろいろ背景が描かれているけれど、裏読みしたくないなあ。めずらしい1人称作品でもある。

 読んでから1年以上経った。ぱらぱらとめくってみる。14歳の少女の一人称作品である。巨大な宇宙船で生まれ、育ち、学び、そして、植民惑星での「成長の儀式」、大人になる儀式に備えて教育を受けている。父は宇宙船社会の政治家とも言える存在。いじめがあり、出会いがあり、師があり、そして、大人になる。死がある。自分だったかも知れない、死。
 14歳だから。
 日本だと中学校2年生だ。
 僕は世界におびえていたよ。
 35年ほど前のことだ。
 1979年。
 おびえていたから、後ろに付くのではなく、前に出ようとした。
 たぶん、そういうことだったんだろうと思う。

 ところで、本書が書かれたのは1968年。まだベトナム戦争と反戦運動がつづいていたよ。そういう背景があることは間違いないんだ。深読みしたくないけれど。



(2012.10.30)




TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
(スパム防止のため、全角表記にしています。連絡時は、半角英数にてお願いします)

作家別テーマ別執筆年別
トップページ