リトル・タジャン・プロジェクト
リトル・タジャン・育苗場のその後


鈴木敦



 2003年6月、台風が到来している中リトル・タジャンを訪問した。以前に比べタジャンの道路事情は良くなってきているが、相変わらず雨が降ると所々ぬかるみ、今回も数回車が立ち往生し引き出すのに1時間以上かかった。

 今回の滞在中、雨が降っていることが多かったがそれでも晴れ間をみて育苗場で作業を行った。育苗場全体に雑草が繁茂しており、バイオマスの豊富さに感心しつつまずはその除草作業を行った。今年3月に播種した柑橘の種子は、予想通り発芽率は低く20%程度であった。発芽したものは10〜15cmに成長していたが、防虫ネットを設置したにもかかわらずアゲハチョウの幼虫による食害に侵されているものが多く見られた。定期的に見回りをして、手で幼虫を取り除けばよいと思うがまだそこまでの意識はないようである。害虫対策としてニームを使ってみるようにジュリオスに提案した。ニームについての情報は多く見られるが、実際の効果を見るのに良い機会である。除草を終えた後、マンゴー、アボガド、ニーム、グアバノ、アカシア、ジミリーナ等を新たに播種した。これらの種子のほとんどは各人が採取や食後に保存したものであり、果樹の種子はプラスチック・ポットに、アカシア、ジミリーナ等の種子は発芽しやすく、害虫がつかないこともありネットの外にシード・ベットを作り播種した。人気のあるマンゴーは、数百個の種子が集まり用意したプラスチック・ポットが足りず、残りはやはりシード・ベットに植え、発芽後移植することにした。

 育苗場の害虫対策、除草等の管理はまだ十分に行われておらず、自主的に行うようになるにはもう少し時間がかかると思われる。このプロジェクトに最も理解を示し、育苗の技術も持っているジュリオスが仕事の関係上、村を離れていることが多いのは残念なことである。しかし種子を集めることに関心を持つようになったことなど多少変化が現れてきている。またこれまでこのプロジェクトにあまり関心を示さず、積極的に係わってこなかったサイモン(ジュリオスの長兄)が今回熱心に手伝ってくれ、個人で育苗するためにプラスチック・ポットを持ち帰っていた。後で訪ねてみたところ、自宅の庭に小さな育苗場を作り、ジュリオスに柑橘の接ぎ木の仕方にを習っている姿が見られた。

 このように少しずつではあるが、村民の育苗や植林に対する意識は変わってきているように思われた。
 今後も育苗場を発展させつつ、村民の関心を高めていきたいと思う。




別のところから働きに来た人もボランティア 3月に植えた種が育っています
子どもも手伝ってポット苗運び 種まきもします。


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