リトル・タジャン・プロジェクト
グレッグ氏からの手紙


鈴木敦




リトル・タジャンのプロジェクト参加者 モスビーンの種、食用になり、土をこやす

 フィリピン・リトル・タジャンへ最後に行ったのは、2003年の10月。育苗場はもとより新たに始めたモスビーンの試験栽培の状況を見たく再訪が待ち遠しいが、助成の更新時期であり申請の結果待ちの状態である。
 このような中、このプロジェクトの現地世話役であるCORDEVのグレッグ氏とは昨年中頃からEメールでやり取りができるようになったことは朗報である。それまでのファクシミリよる連絡に比べ、頻繁にプロジェクトに関する情報(時には画像も)が送られてくるようになった。Eメールによる連絡は向こうにとっても時間的にも経済的にも有益なものであろう。


■モスビーン試験栽培は順調
 今回は昨年10月以降のプロジェクトの進捗状況について、グレッグ氏からの連絡をもとに紹介する。
 モスビーンの試験栽培(概要については「ねもはも」20号を参照のこと)は、種子の入手に若干手間取ったとのことであったが、メンバー全員に種子がゆき渡り11月上旬に栽培を開始したとのことであった。栽培途中で根粒菌付着の有無を確認するように依頼したが、まだ結果は届いていない。通
 常販売されているマメ科の種子には根粒菌を接種するノ−キュライド加工がなされている。根粒菌付着の有無は成長や収量に大きく影響するためこれについてはぜひ確認したいと考えている。成長は順調で、今年に入りすでに収穫を終えたものいるとのことであり、写真が送られてきた。収量等についての情報も今後送られてくると思い、楽しみにしている。


■育苗場に豚が侵入
 育苗場については順調とのことであったが、3月中旬に「問題発生」との連絡があった。
 放飼されている豚(おそらく子豚)が育苗場内に侵入し、マンゴー等の苗木を荒らしたといういうことであった。リトル・タジャンでは各家庭の子豚が放飼されており、あちこち走り回っている。牛や水牛は放牧されているが、さすがに放飼はされていない。
 誤って牛が入らないようにと育苗場の外側にはバラ線を張った牧柵を設置していたが、豚までは考えていなかった。
 そろそろ接ぎ木をする大きさに育ったマンゴーの苗の40%が被害に遭い、気付くの若干遅れたため回復不可能なものもあるが現在場所を移し、メンバーみんなで手当しているとのことであった。「40%の被害」は小さいものではないが、1000本以上あった苗木の内、600本は健在であると考えるとそれほど大きな被害でないともいえる。また播種すれば比較的簡単に苗木が得られることが分かっているため、新たに播種すればいいだけともいえる。ただこのため当初4月初旬に計画していたマンゴーの接ぎ木作業は、苗木の回復を待ち5月上旬に延期することとなった。今後の対策として、バラ線の代わりにネットフェンスの設置を考えており、グレッグ氏には現地でネットフェンスを入手可能か調べてもらっている。また第2弾の播種用に、マンゴーをはじめ各種の種子を集めておくように依頼した。

 このように多少の問題はあったものの、メンバーの自主的な活動によりプロジェクトはほぼ順調に進行しているとのことであった。Eメールで連絡できるようになり、日本に居ながらにしてプロジェクトの進捗状況が分かるようになったが、やはり要所要所、特にモスビーンの成長過程や根粒菌付着の有無などは自分の目で確認したいものである。


グレッグ氏が撮影し、メールで送ってくれたモスビーン栽培の状況
右上:モスビーン播種の準備
右下:モスビーンのほ場
左上:開花したモスビーン
左下:モスビーンのほ場






copyright 1998-2004 nemohamo