倉渕村就農スケッチ・「くらぶち四季便り」
和田 裕之、岡 佳子


11月23日お届けの野菜 
<和田以外の野菜には生産者の名前がついています。すべて無農薬・有機栽培です。>
○ じゃがいも(メークイン)   ○ さといも
○ にんじん:適当な大きさに切り揃えて蒸し器で蒸す。ほくほくの時にさっと塩少々をふりお召し上がりください。残ったら、里芋(これまた煮物にした残りでOK)といっしょにつぶして小麦粉と卵を足して混ぜ、油で揚げてください。おかずにもおやつにも最適!
○ ブロッコリー<竹渕さん>   ○ 大根
○ かぶ:<最近わが家で好評のレシピ!> 薄く切って油でさっと炒めて、透き通ってきたら醤油を少々まわしかけて出来上がり。葉もみじん切りにしていっしょに炒める。甘くなってきたかぶのうまみが引き出されます。
○ みず菜:レシピ参照      ○ 白菜<樋口さん>
○ 花豆:2日くらい水につけ(2倍くらいにふくらみます)、2〜3回ゆでこぼし、やわらかくなるまで弱火で煮る。やわらかくなったら、砂糖(お好みの量で)を3回くらいに分けて、加えながら煮る。最後に塩少々を入れる。(塩を入れると甘味が増します)そのまま食べてもおいしいですが、わが家では、この煮豆をお米(もち米を半量ほど加えるとよい)と一緒に焚いて、甘いおこわとして食べたり、パンに焼きこんだりします。 などなど

 埼玉県小川町の金子美登さんによると「20〜40軒の消費者と連携することで、生産者の生活を支える」ことができるという。現在私たちは、週に10軒前後の消費者のお宅へ野菜をお届けしているが、金子さんの言う「20〜40軒」というのは、私たちの実感からしても妥当というか、決して多過ぎないところがいい。有機的な人間関係という意味でも、納得のいく野菜作りという意味でも、規模が大きくなればなるほど、どこかに矛盾が現われてくるような気がする。
 昨年から始まった私たちの産直「くらぶち四季便り」も今年の5月からは毎週の発送となった。毎週、発送の3日前にメニューを決め、野菜をいただく生産者仲間に連絡し、お便りを作る。お便りは、直前の野菜情報やレシピ(昨晩作っておいしかったものなど)を入れるため、前日か当日に作ることが多い。このお便りづくりは私のひそかな楽しみになっている。おかげさまでレシピのレパートリーも増えたし、会員の方からの「あれ作っておいしかった」の声は何よりもうれしい。
 週に10軒でも自家用の野菜でまかなうには多い軒数だ。今年は産直用に作付けをした。契約栽培で比較的大量に出荷する野菜約10品目に加え、産直用に自家用より多く、じゃがいも、さつまいも、さといも、セロリ、とうもろこし、枝豆、夏の葉物用にエンサイやモロヘイヤなど20品目を栽培してきた。毎回8割から9割はわが家の野菜でまかなえるようになったが、足りない分は倉渕の仲間にお願いする。よりバラエティーに富んだ野菜が勢ぞろいする。
 野菜はほとんど発送の当日に収穫し箱に詰める。にんじんは大きいの小さいの、二股、割れたものや面白い形のものも取り混ぜて、土付きのまま新聞紙で包み一番底に。大根も2〜3枚の黄色い葉のみを取り除いて箱の下段へ葉が折れないように斜めにして。先日のみず菜は細い葉の間に山の落ち葉がいくつか挟まっていた。初夏のチンゲンサイは虫食いの葉もあった。トマトが最盛期の時には、トマトソース用に、箱からあふれんばかりにいっぱい入れる。もちろん「超簡単トマトソースのレシピ」と、いっしょに使うにんにくやバジルも入れて。箱のスペースと時間の余裕があればメニューにない野菜を前の畑に取りに行って入れることも。大きな箱に野菜がいっぱいに詰まった時が好きだ。畑からそのまま野菜が歩いてきて入ったよう。私はこの荷作りはなるべく手を加えずにするようにしている。スーパーに並ぶ、きれいに洗ってラップに巻かれた大根ではなく、すっと抜いた「そのまま」の野菜の姿を知って欲しいから。ふぞろいの野菜たちは調理に手間がかかるが、四季便りの箱から野菜と土の元気をいっしょに感じてもらえたらうれしい。

 わが家の12月で1歳になる息子の太緒は私たちと一緒に毎日畑に出て、畑の黒土の上をハイハイしながら、チビにんじんを土付きのままかじったり、時には石ころをあめのようになめたりしている。手と口の周りを真っ黒にして彼はいっぱい土を食べている。4歳の太一もそうやって大きくなってきた。私たちの「くらぶち四季便り」も、大きな自然と多くの人たちに見守られながら、たくましく育っていってほしい。

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