のろのろとはいあがる正月
4ヶ月近く休んでしまった。
この日記を書いてうちのねずみたちの毎日の様子や私の思うことなどをつらつらとみなさんにお見せすることが、自分にとって大きな意味を持っていることを知った。
書けない。ねずみのことが書けない。
むぎがかわいくすてきなねずみだったことや毎日ねずみたちがかわいらしくすばらしいことは何の変わりもなく私の中にあるのに、言葉や文章になって出てこない。
手がかたまる。ねずみのこととなると、キーボードが打てない。
そうして、日々が過ぎていった。 掲示板に励ましの言葉をいただいたり、メールやお手紙で力づけてくださった方々、ほんとうにありがとう。
そして、お返事ができずにごめんなさい。 まだヘナヘナな私です。
でも、ちょっとずつ大丈夫になってきた。
12月1日に、わが家に新しい家族が加わった。
名前は「ぷりま」。生後一ヶ月ちょっとのちびさんを、電車に揺られてお迎えした。
毛色も目の色も、むぎといっしょ。だから、とても悩んだ。
もしかして、私はこの子をむぎの代わりにしようとしているのではないか。
この子を「ぷりま」として、愛してやれるだろうか。
そうしたら、むぎにもぷりまにも大変失礼なことだろう。
また、むぎと比べてしまっていらだったりしやしないだろうか。
でも、何匹もいるケージの子ねずみたちの中から、彼女ばかりを目で追ってしまう。
しかし、ちびで元気なこの女の子は、そんな不安をたくましい後脚で一蹴してくれた。
きょろきょろおめめはむぎより色素が薄いし、毛色も同じアージェント(アプリコットのことを英語ではそういいます)とは言え、白っぽいかんじ。
なにより、姉御肌だったむぎと違ってぷりまはこどもらしいやんちゃ娘。巣作りもへただし回し車はごうごうとすごい走りっぷり。
そしてそこがまた、かわいいのだ。 お迎え3日後、私は彼女をとろとお見合いさせることにした。
もちろん、危険なカケでもある。とろは以前より沈みがちだし、相性が合うとは限らない。
スナネズミは複数飼育できる、と言われているが、もちろん相性が合わないことはままあるのだ。
仕切付きのプラケースで、万全を期して、お見合い。思わずむぎの写真に祈った。
はじめのうちはお互いどきどきしていたふたりだったが、ほどなく網越しににおいをかぎあい、ついには上の方を見上げて「あのことあいたいの」と言った。ように見えた。
おそるおそる仕切網のドアを開けると、たちまちふたりはいっしょにちょろちょろしはじめた。
驚くほどの仲良しさん。とろはぷりまをかわいがり、ぷりまはとろに甘える。
とろの表情が、ずっといきいきするようになった。
お互い毛づくろいをしあい(ぷりまはまだへただが)、寄り添ってねむる。
いたずらし放題のぷりまを、とろはおおらかにみまもる。
こんなことになるなんて。 むぎ、ありがとう。とろはこんなに優しい娘に育ったよ。
むぎが私に空けていった穴は大きい。 はらわたをひとつかみ持って行かれたかと思うほどつらい。
でも、その穴をむぎはあたたかくやさしいもので満たしていってくれたということに、やっと気付いた。
ねずみが空けた穴は、ねずみでしか埋まらない。前と同じように傷はふさがらないけれど、前よりもっとねずみを好きになれる。
むぎの病気のこと、病理解剖の結果、房の社でていねいにあげてもらったお葬式のこと、ペットロス講演会で得たもの、ねずみ仲間のあたたかいサポートなど、書かなければいけないことはたくさんある。
でも、まだ書けないことがほとんどだ。 ゆっくり書こう。
魂が追いつける速度で。
■新入りねずみ・ぷりま
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ゆであずきの おそなえ |
むぎの形見 |
あずきが すきだったねえ |
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