2003.4.30

こんにちは、先日スナネズミの件でメールいたしました、水底 沈(この部分本名)と申します。

いよいよドラマが始まりましたね。第一回、第二回とテレビの前に貼り付いて拝見いたしました。
キャストを選び、脚本もなるべく忠実に…とご苦労の様子、画面から伝わってきます。
特に、漫画連載時からずいぶん年月が経ってしまっている世情の様子…携帯電話など、細かい考証にはなうほどなあ、と感心しました。

しかし残念ながら、やはり動物に関しては、思ったほど注意深く扱われていないなあ、というのが正直な感想です。エンディングテロップだけでは実感としてわからない方が多いでしょうし、視覚的に子犬のチョビを出されてしまってはそちらがイメージに残ってしまっても仕方ないと思います。

ドラマ内でスナネズミに関してもっともがっかりしたのは、水槽をのぞいたハムテルの「まーた増えたのか」の一言。スナネズミは菌やウイルスではありません。気が付かないうちに分裂して増えることはないです。あたりまえですが。オスメスいっしょに入れっぱなしにすれば、当然交尾して繁殖します。いつのまにか繁殖して気が付いたら増えていた、というほどほっておいたのでしょうか?45cm水槽にあの数、というのもやっぱり配慮がされないままに放送されてしまいましたね。
菱沼さんがスナネズミとラットを両手にわしづかみにしてニヤニヤしながら屋外を歩いている図も意味不明です。スナがしっぽにけがをしている様子のは、まさか撮影中の事故なのでしょうか?
マウスがプラケごと床に落とされてぶちまけられる、というのもねずみ飼いにとってはつらい場面です。しっぽをぶらさげてつまかえられているシーンに何の説明もありませんから、スナネズミもそのように扱ってしまう人が出ないとも限りません。ラットやマウスはしっぽが切れにくいですが、スナネズミのしっぽはひっぱると切れるか皮がむけ、骨が露出します。

次回はいよいよスナネズミが主役の話ですね。
予告を見ましたが、ねずみにたかられて二階堂が気絶したり、ワーキャー言うのは絵的におもしろく見せられるので、案の定使われたか…という感じです。
まさか、お酒を飲ませたり水をかけて気絶したねずみの目を覚ましたり、「繁殖は年に二回」という誤った情報を流したり…するのでしょうか。不安です。

重箱の隅をほじくるようで心苦しいですが、動物たちに対する関する基本的な知識を持ち、配慮してくれる専門家がきちんとスタッフとして加わっていてくれれば使われない問題シーンがほとんどだろうなあ、と残念です。
原作者の佐々木倫子さんは、獣医学部の学生さんや獣医さんなどに取材されてこの作品を書かれたとのことですが、獣医学部や医学部においての小動物の扱いはあくまでも「実験動物」です。かわいがり、家族の一員として暮らす愛玩動物とは全く扱いも、飼育の心構えも違うのです。
残念ながら、現実問題として内容を今からいじるのは無理だと思うのです。三ヶ月クールとのことなので、たぶんもうかなり中盤のあたりまで撮影が進んでしまっていると思います。
だから、せめてスナネズミやラット、マウス、ウサギなどの小動物に関してもテロップを入れていただくとか、長いエンディングを削って「正しい動物の飼い方講座」をやるとか、今からでも間に合う改善策を考えてはいただけないものでしょうか。

日記サイトや掲示板など、あちこち番組に関する感想を見てみましたが「チョビが似てる」「小夜ちゃんが似てない」とかそういう話は盛り上がっても、やはり動物の扱いに関してはみんな無関心、というか、問題に気がつかずに流してしまっているように思います。それが怖い。危険です。
つまり、特に疑問を持たないままに、あのまま受け入れてしまっている、ということだからです。その状態で飼い始める人が出ると、あれが飼育のお手本になってしまう、ということにもなるわけです。事実、漫画ブームの時に飼い始め、あれをお手本にして飼っていたという知人が何人かおり、「あれは失敗だった、かわいそうなことをした」と嘆いていました。
動物に関心がない人が動物を飼わないのは、それでいいのです。問題なのは、飼いたい人、飼い始める人がきちんと調べないこと、そのための情報が手に入りにくいこと、そして手に入りやすい目に触れやすいドラマや漫画の情報が間違っていることです。第一話の「まーた増えたのか」がどんなに問題発言か、ねずみのためだけでなく、ハムテルがそういう無責任な人物である、ということになるのだ、ということにも、もっと気付いてほしいと思います。

では、第三話の放映も、楽しみに待っています。
スタッフの皆様も、がんばってくださいね。
乱文ご容赦ください。

水底 沈(この部分本名)

追伸:先日開いた当サイト「スナネズミを飼う前に」、ドラマ放映後から来訪者が急増しています。やはりスナネズミに興味を持って検索してきている人が多いようです。募集もしていないのに「里子にください」というメールも何通か来ています。ブームは、確実に起こりつつあります。



「スナネズミを飼う前に」
http://www.inawara.com/suna/before.html