2003.5.1

テレビ朝日・「動物のお医者さん」制作担当者さま

こんにちは、先日スナネズミの扱いについてメールいたしました、水底 沈(この部分本名)と申します。
本日放送分・第三回を拝見いたしました。

とても残念です。がっかりしました。正直、くやしいです。やはり、スナネズミにお酒を飲ませるシーンは放映されてしまいましたね。
演出上と言え、高く放り上げられる場面も目を覆いました。スナネズミはけっこう高くジャンプしますが、あんなふうには飛びません。スタッフが放り上げたのでしょうね。毛並みが悪い子、けが(おそらく相性の合わない子やストレスによるけんかからのもの)をしている子なども目に付きます。

スナネズミエピソードの最後に「放映では本当のお酒は使用していません」とテロップが出ました。放映前に私もメールでお願いしましたし、他にも意見のメールをした方がいたのだろうと推測します。
しかし、私がお願いしたかったのはこのようなテロップではありません。注意喚起の姿勢が全くずれています。あれでは、所詮は「私達制作スタッフは動物虐待をしていませんよ」という、逃げ口上に過ぎません。
ラストの「ドラマのチョビは生後7か月以内の幼犬で劇中の設定とは異なります。」も、そうです。「だから、大きくなってもあの程度か、とは思わないでね。ちゃんとうちは書いてるんだから、勘違いしたらあなたのせいだよ」と取れます。邪推しすぎでしょうか。「このドラマはつくり話です」もそうです。しかし視聴者はどの程度、何をもって「つくり話」だと思うのでしょうか。
ハムテルや菱沼さんは実際には存在しない。設定も登場人物もみんなうそっぱちだ。でも、シベリアンハスキーという犬は実際に存在するし、スナネズミを飼う人もいれば、ショップに行って手に入れることもできるわけです。これらがドラマ中で受けている扱いも「つくり話」で、何も信じるな、と言うのでしょうか?みんながそう思うとお思いですか?

「ハスキーは大きくなりますからマンションやアパートでは飼育は無理ですよ」
「大型犬は扱いも大変だから、軽はずみな気持ちで飼わないでください」
「ペットにお酒を飲ませてはいけません」
「実験動物とペットとしての飼い方は違います。飼い始めるときにはきちんと調べて責任を持って飼いましょう」
など、飼育のアドバイスを、なぜ書けないのでしょうか。もちろん、そもそもドラマ内で使わないでほしかったエピソードではあります。チョビにまでお酒を飲ませて、今頃愛犬家からもクレームが入っているところではないでしょうか。残念ながら、回を進めるにつれ、動物についての扱いにどんどんほころびが見えてくるような気がします。
「原作に忠実にやっている」とおっしゃるかもしれませんが、以前も書いたとおり原作者の情報元は獣医学部学生や獣医から見たものであり、愛玩動物の飼育や扱いとは違います。また、時代の変化による動物愛護・アニマルライツ(動物の権利)に対する状況もずいぶん変わってきているわけです。

そして、エンディングの最後に文字だけでそっと流れるテロップでの注意より、ドラマ本編でビジュアル的に印象づけられる情報はずっとずっと強いものです。このぐらいの水槽でいいのか、お酒を飲む子がいるんだね、猫がいても気をつければ平気、増えるのが当たり前なんだ、しょうがないよね…動物もののテレビ番組は、制作側の方々が意図していなくとも、視聴者にとっては「飼い方の見本」になってしまうのです。
制作側の方々も、テレビというメディア、映像という手段が視聴者に与える影響の大きさ・強さを知らない方々ばかりではないと思います。
早急に、愛玩動物飼養管理士なり、「ペットとしての動物の飼い方、扱い方」をきちんとチェックできるスタッフが脚本や演出をチェックできる体制をつくっていただきたいと思います。 どうか、どうかよろしくお願いします。

水底 沈(この部分本名)

「スナネズミを飼う前に」
http://www.inawara.com/suna/before.html