製作 土田プロダクション、脚本 田代淳二
日本テレビ系列で1983年から1年間、全52話放送のテレビアニメで、小学館の学習漫画「少年少女日本の歴史」を参考に制作された作品。
配信で流れていたので数年前の今年2025年の2回流し見しました。今年は参議院議員選挙で歴史認識がめちゃくちゃな政党、候補者があってぐったりしたので、「まんが日本史」で気持ちをリセットしようと思ったのだ。
夫婦別姓なんて日本の長い歴史で支配階級では当たり前のことだったし、言語も文化も大陸からやってきていたし、歴史の初期から外国からの人との交流によって発展してきたんだ。なにをいまさらそんなことを強調しなければならないんだ、と。
もっとも、日本列島の有史以前、その後の歴史学、人類学、遺伝学などの研究により「日本人」と呼ばれる民族のルーツが一方向からだけではなく、様々なルートを辿って混交して形成されたことが明らかになっているし、有史後の歴史も新たな研究により制作時よりも深まっているから、このアニメを歴史の教科書としてお薦めすることはできないが、歴史に関心を持ったり、歴史をきちんと学んだ上で見ると、それはそれでおもしろい。
とくに、このシリーズの特徴は、本編の後に「おねえさん」が「男の子」と「女の子」の兄妹にワンポイントで追加説明するのだけれど、この「おねえさん」が実に良い。すっとぼけた顔をして現代的視点から為政者をぶったぎり、現代的価値観の大切さを子供たちに伝えていく。後半になると、日本が米英仏などの植民地化されなかった時間軸に触れて、「単に運が良かったのね」と、幕末、維新期の日本の政治的、軍事的実力ではなかったことをすっぱり切る。いいぞ、おねえさん。
さらにおもしろいのは、同時期の東アジアやヨーロッパ、中東の歴史を短く紹介している。島国であり、人類史上は比較的後期に集団形成されてきたことから、日本の歴史が中国や中東、ヨーロッパに対して、文明的には後追いであることがよく分かる。もちろん、その中でも島国として徐々に独自性をもってくるのだが、それもふくめて人類史の中のひとつであることも見えてくる。
台所仕事しながら流し見るにはちょうどいい作品なのだ。
類似の作品に「ねこねこ日本史」もあるが、こちらはもっと歴史をデフォルメしているのである。大長編なので、見流しするにはいいぞ。