作:古田足日、絵:田畑精一
1975

初版1970年1月15日、定価480円、岩崎書店発行。
私のSF人生は、ここからはじまった。5歳の頃、父が買ってきた1冊の絵本。それまで、昆虫図鑑が大好きで、テレビのウルトラマンやウルトラセブン、キャプテンウルトラやマグマ大使を真剣に見ていた私は、本の中でもロボットが登場したり、宇宙に旅行したりできることを知った。
しかも、少年が、ジャンク屋で部品を集めて、自分でロボットを組み立てる。
すごい。かっこいい。ぽんこつだけど、かっこいい。
もう、何十回読んだか覚えていない。
国立国会図書館デジタルコレクションで発見して、初読から55年目の再読をした。
あらすじはすでに頭に入っていたが細かいところは覚えていない、はずだった。
しかし、ページをめくる度に、この絵も、この文も、ぜんぶ心にたたき込まれていたことを思い出した。
私は、ここで作られたのだ。
ストーリーを要約すると、タローくん家の家庭用お手伝いロボットが壊れてしまった。1台目は市役所から配給されるが2台目は買わなければならない。ボーナスで火星旅行を楽しみにしていたお母さんは悲しんでいる。毎日お手伝いに買い物に行かされていたタロー君は遊んでいる友達の前で宇宙一のロボットを作るんだと宣言。貯金箱とお年玉を持ってロボット部品のジャンクショップに行き、最高のロボットを作りたいと言って、壊れたロボットの部品を用意してもらう。お金は足りなかったが、友達の協力や運もあってなんとか部品を買うことができたタロー君。とはいえ壊れているので、パーツの修理や買い足しをしながら長いことかかって組み立て上げなければいけない。おうちではやむなく2台目のお手伝いロボットを購入してしまった。火星旅行は取りやめ。やがてロボットが完成してスイッチを入れたら、「ぼくは人間のタローで、君はぼくが作ったロボットのジローだ」と自分自身を人間と信じ込んだロボットができてしまう。いろんな事件が起きるが、ある大事件を解決して、ごほうびに家族と友達とロボットが火星旅行に招待されることになる。そこで起きた事件を通してロボットのジローは自分がロボットであることを自覚する。そして大団円。
好きな要素満載である。アトムは天馬博士やお茶の水博士のような天才科学者が作ったけれど、ぽんこつロボットは、ふつうの小学生ががんばって部品を集めて修理して組み立てた。やればできるって思わせてくれた。そして、何かに夢中になると、そこから冒険がはじまるってことも。
そう信じて大人になった。技術者にも科学者にも発明家にもならなかったけれど、魂はいつもそこにある。
そして、その絵本を、国立国会図書館デジタルコレクションというアーカイブで振り返ることができる。未来が来ていた。
宇宙開発はまだまだ遠くて、戦争している人類だけれど、人類のスピリッツはこんなもんじゃないはずだ。
国立国会図書館デジタルコレクション(ぽんこつロボット)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12929536