311以降の社会運動、市民運動に対するヘゲモニー的発想のむなしさ
労働組合等の従来社会運動を牽引してきた指導者たちは、すでに気がついていると思うのです。動員されなくても社会運動に自ら主体的に参加する構成員の存在に。
そして、団体呼びかけでのデモや集会、抗議行動に主体的に参加する非構成員の存在に。
反原発運動、秘密保護法反対、ヘイトデモカウンター、戦争法案反対の行動を通じて登場してきたよびかけ人や呼びかけ団体は、従来の組織とは性格を異にし、自らの組織の構成員を増やしたり、運動に対する覇権を取って有利な利害関係者になろうとしないことにも、気がついていると思うのです。
市民が、よびかけ人や呼びかけ団体とは政治的、社会思想的に異なる考えを持っていても、それらの呼びかける行動に対し、柔軟に参加していることを。
そうして、組織拡大や覇権的な動きをする団体や個人に対し、拒否感を持っていることを。
支配されるのではなく、何かの方針に従うのではなく、個人が自ら考え、原理原則に縛られずに協調し、市民社会として、その場その場での品位と配慮を持って、時には冷静に、時には積極的に非暴力不服従を前提に行動していることを。
たとえ、労働組合等の従来社会運動団体が呼びかけたものであっても、市民はそういう非ヘゲモニー的発想の運動であろうとして参画し、行動します。
そこで、指導者たちが気がついていたとしても、構成員が従来型の社会運動における行動だと理解し、身内的な、ヘゲモニー的な発想で行動をすれば、市民は、それを批判します。
それは、主体的でも自立的でもないからです。自らの所属団体の伸張やヘゲモニーを運動の目的よりも優先しているとみるからです。
2016年3月29日の戦争法施行反対運動は、総がかり行動が午後7時半まで、SEALDs&学者の会がそれ以降を担当する形で国会議事堂前周辺での抗議として行われました。
終了後、参加した非動員市民側からいくつかの指摘や批判が出ています。
SEALDsへの時間の引き渡しの不手際、総がかりの終了による参加者帰宅の促し、総がかり側誘導等の命令的態度、動員参加者とみられる参加者の飲酒、喫煙歩行、喫煙、ごみの放置などです。
この行動には、おもてには出ないながらも、反原発関係で毎週金曜日に抗議行動を行っている反原連のスタッフや、希望のエリアのスタッフ、あるいは、ヘイトデモカウンターなどに参加しているメンバーなどが、安全確保、誘導、見回りなどを行っていました。そのようなステートメントも、なにもなく、です。
これが非ヘゲモニー的な態度です。
総掛かり行動もまた、その団体構成からヘゲモニー的思想からの脱却をめざしたものだと理解しています。その取組みには心より感謝しています。
これからまた選挙の季節を迎えます。今回の選挙は、野党の共闘を求め、実際に、民進、共産、社民、生活などの選挙協力体制が各地で生まれています。政党も変わろうとしています。これを成功させる上でも、いま、すべての社会運動組織は、従来の運動のあり方を変えることを恐れてはならないと思います。
ともに頑張りましょう。民主主義の成熟のために。