冷え込む秋の雨 
 
ここのところ、毎日のように雨だ。湿度は高く、冷え込む。 
ねずみたちもこもって昼寝していることが多い。エアコンなしで23℃だもの。 
巣材ももこもこにかまくら状態で、毛の間に空気を入れて暖をとっているねずみたち皆もこもこして愛くるしい。 
牧草を切らさぬよう、新しいものをこまめに足してやる。様似牧草の豊かでさわやかな香りが部屋にたちこめる。 
 
おやつに梨を切る。同居人がむいてくれたやつのはしっこをぽくりと少量割って、みんなにひとかけずつ行き渡るようにふるまうのだ。 
有機栽培の幸水梨はよく熟しており、甘い蜜がしたたっている。 
ねずみは、甘いものや果物は大好きだが、手がぬれるのがニガテだ。 
私が指先でつまんだ梨を、そのまま持たせて口だけこちらにのばし、ちょみちょみと食べ始める。 
食べにくいのでそのうち仕方なしに受け取るのだが、一等横着なのはちびはだ。 
ずっとずっと、私の手から食べている。 
他のねずみにも梨をあげたいので早く受け取ってほしいのだが、まだまだ持たせて食べている。むしゃむしゃむしゃ。 
「横着者!自分で持ちなさいっ!」と叱りながらも、手に伝わってくるむしゃむしゃの振動がかわいらしくて、口元はにやにやしてしまうだめ人間なのである。 
 
今日のむぎのスペシャルおもちゃは、ペッズイシバシの「さとうきび」である。 
蜜をしぼりとった後のかすを乾燥させたこのおもちゃは、すかすかした繊維の固まり。 
裂けやすく、バルサのように軽くて、ねずみに人気のあるおもちゃだ。 
水槽にこれを入れると、早速ふたりとも走り寄ってくる。 
最初のうちはとろも端をかじっているが、むぎのかじりが次第に熱を帯びてくると、いつのまにかいなくなっている。 
飽きたのか、むぎに譲ったのか。 
むぎは快活にほほえみながらどんどんさとうきびをほぐしてゆく。 
長持ちするのは固いテレックス芯や乾燥さぼてんだが、紙箱やトイレットペーパー芯、そしてこのさとうきびのようにぶわしぶわしとくいちぎれるかじり材のはかがゆく仕事は、ねずみの爽快感や達成感を充足させてくれるらしい。 
10分ほどたつと、ねずみにとっては丸太ん棒ほどであったろうさとうきびは消滅し、むぎは満足げに酸素室に戻ってひるねをはじめるのであった。お見事。 
 
深夜になにげなくつけていたテレビに、見慣れたのほほん顔が映っている。 
はっとして画面にかじりつくと、スナネズミが忙しそうに木の枝を集めている。 
スナネズミだ! 
番組は、モンゴルの草原や森に住む動物の特集であった。 
ある者は巣材を集め、ある者はそれを運び、ある者は鷲の襲来をスタンピングと鳴き声で仲間に知らせる。 
ああ、君たちの先祖は、あそこに住んでいるんだねえ。 
広くてカーンと澄んだ空。乾いた風。どこまでも続く大地。 
せまくて、湿っぽくてごめん。世界を見せてあげられなくて、ごめん。 
うちにいてくれて、ありがとうね。鷲は出ないけど、私が何もかもから、いっしょうけんめい守るから。 
 
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雨続きで洗濯ができない。先日のねずみそうじの時に出た大量のねずみタオル(うちでは青いタオルをねずみ専用にしている)も全部出払っている。 
もう人間が使うタオルもない。 
私のジーンズもじめじめしている。さあて、どうするのさ。 
 
 
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| なぜにのせる。 | 
ままたんに さわらないで。 | 
あらっ | 
ちょいと豪勢ね | 
ないしょばなし | 
 
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| ままたん、とろも…。 | 
「ままたん…」 いいのよ。 | 
ぶわっしぶわっし | 
独壇場 | 
たのしいわ… | 
 
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| うりゃあああ | 
ひたすらに | 
そいやそいや | 
ほぐしひとすじ | 
先は見えたわね | 
 
 
 
※画像クリックで大きいねずみ 
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