牛乳の種類
【注】この記事について、内容に誤解がある、との指摘をいただきました。10年以上前に書いたものですので、資料の確認、現状の把握に少々お時間をいただきます。また、指摘とは別に、実際に牛乳・乳製品の定義等が執筆時とは変わっています。読者の方にはご迷惑をおかけしますが、そのような指摘をいただいているかつ、情報として古い記事であることを踏まえてお読みください。(2014年)【注終了、以下元記事】 最近はスーパーでもみかける「低温殺菌牛乳」。ということは、たくさんならんでいる牛乳は「高温殺菌牛乳」?? 牛乳の表示を見ると、この他にも「ノンホモ」「ノンホモジナイズ」「パスチャライズ」など様々な言葉があります。
【加工乳と牛乳】
「ローファットミルク」「カルシウム強化牛乳」など、一口に牛乳と言ってもいろんな種類が出回っています。よくよく表示を見てみると「加工乳」と「牛乳」の2種類があります。
「牛乳」は、牛から搾った生乳の成分は変えずに、殺菌したもののことです。
「加工乳」は、生乳から脂肪分を抜いたり(ローファット)、脂肪分を加えたり(濃厚)したものです。
その他、コーヒー牛乳やヨーグルト、チーズなどは「乳飲料」「乳製品」という分類がされています。
【殺菌と滅菌】
牛乳は、必ず熱で殺菌してから販売されます。栄養価の高い牛乳は、細菌にとっても栄養のかたまりです。牛乳の中に含まれる乳酸菌は、他の細菌を抑える働きをしますが、生乳のまま時間をおけば、他の病原菌や腐敗菌が繁殖することも考えられます。そのため、熱をかけて殺菌することが必要になるのです。
殺菌には2通りの考え方があります。ひとつは、生乳の中にいるすべての菌を殺してしまって、無菌状態にするというもの。そして、もうひとつは、最低限の熱で病原菌や腐敗菌だけを殺してしまう方法で、これがいわゆるパスチャライズ、低温殺菌法です。この低温殺菌法は、世界的に主流の殺菌方法で、有用菌の乳酸菌は生かしたままで、なおかつできるだけ生の牛乳に近いものを飲もうという考え方をもっています。
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
パスチャライズド牛乳 | LTLT (Low Temperature Long Time) |
63度30分の殺菌方法。量産化は難しいのですが、厳選した生乳を殺菌する方法として広まっています。 |
HTST (HighTemperature Long Time) |
72度15秒の殺菌方法。LTLTと同じような効果が得られ、ある程度大量に処理できるため、ヨーロッパなどでは一般的な殺菌方法。 | |
超高温熱処理牛乳 | UHT (Ultra High Temperature) |
120〜130度2秒で、生乳の菌をほぼ完全に殺してしまう(滅菌)方法。日本の市販乳のほとんどがこれ。 |
LL(Long Life)ミルク | 130度〜145度2〜20秒といった完全な滅菌を行い、さらに滅菌パックで常温長期保存できるようにした牛乳の缶詰のようなもの。世界的には、この牛乳は、病院や機内食、非常用の特別なものという認識があるようです。 |
超高温熱処理は、加熱前にもおおむね80〜85度で5〜6分の予備加熱をします。
この二重の熱処理方法は、牛乳大切なタンパク質やカルシウム分が変質するなどの作用があるといわれています。また、「こげ臭」という独特の香りととろみがつきます。低温殺菌牛乳をはじめて飲むと、あっさりしてさらりとした感じを受けるのはこのためです。
【ホモジナイズ】
「ノンホモ」「ノンホモジナイズ」とは、「ホモジナイズしない」という意味です。
ホモジナイズとは何でしょう。かつて、「ホモ」牛乳という呼び名が宣伝されたことがありました。それまでは、ノンホモが主流だったのですが、これ以後、「ホモ」牛乳ばかりになってしまいます。
搾ったばかりの生乳をそおっと置いておくと、上の方にクリームの層ができます。これは、脂肪のつぶ(脂肪球)です。ホモジナイズとは、この脂肪球を壊してしまい、それによって、生乳の成分を均一にすることです。ホモジナイズをすると、牛乳の大量熱処理がしやすくなります。
ノンホモとホモには、一長一短があります。飲用としてどちらがよいかと言えば、より自然なのはノンホモです。また、ノンホモはデリケートなので、原料乳の質や、乳業メーカーの質が問われます。より高品質な原料乳を、ていねいに扱わなければならないのです。その意味でも、よい牛乳と言えるかも知れません。
「ノンホモ」では、そっと置いているとクリームが浮かび上がってきます。そのまま飲むときには、よく振って、バターを作ったり、生クリームにしたり、お手製ローファットにしたり、素材を楽しむことができます。
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