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いまさら聞けない勉強室&ワード集



ダイオキシン
ダイオキシンについて、とりあえずまとめました。近いうちにもっと詳しく、かつ、わかりやすく書こうと思います。


【最悪の化学物質】

最強の毒物とも言われる2,3,7,8テトラクロロジベンゾダイオキシン(2,3,7,8−TCDD)を含む210の塩化物をダイオキシンと呼びます。ダイオキシンの毒性には、種類によって強弱があります。しかし、並の農薬よりもはるかに急性毒性などが強いものが多くあります。
2,3,7,8−TCDDは、アメリカがベトナムで使用した枯草剤に混入していて、流産の多発や先天異常によって知られ、研究されてきました。
 現在は、生殖毒性、催奇形性のほか、発ガン性、免疫毒性が指摘され、また、遺伝毒性も疑われています。

【自然にはない物質】

 ダイオキシンは、自然界には存在しない物質です。人間が作り出した有機塩素化合物なのです。炭素原子に、塩素、水素、酸素が結合したものですが、その結合の仕方が恐るべき毒性を生み出します。除草剤などの農薬の不純物、有機塩素化合物の製造過程、紙パルプ工場などでの塩素漂白、ゴミ焼却炉など様々な発生源が突き止められていますが、発生のメカニズム解明が困難なため、対策が遅れています。

【ゴミを燃やせばダイオキシン】

 私たちの日常生活からは、特にゴミ焼却が問題です。ゴミの中にポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンが含まれているとダイオキシンが発生しやすいことが知られています。これらは、現代生活のあらゆる場面で登場します。ラップ類、傘やレインコート、おもちゃ、ホースやボトル類、パック類、衣類、建材などどこにでも見られる素材です。
 また、比較的低い温度で焼かれると発生しやすいことも分かっています。
 プラスチックとの関連では、プラスチックが混入しているゴミは燃焼時に不完全燃焼を起こしやすく、そのことでダイオキシン発生を誘発することなどが指摘されています。

【食物連鎖に入り込んだ!】

 ダイオキシンは、もうひとつの恐るべき化学物質PCBなどと同様に、通常生物によって分解されることはありません。また、その分子構造上、脂肪に溶け蓄積される傾向があります。自然界に放たれたダイオキシンは、プランクトン→魚→鳥→動物というように食物連鎖に組み込まれ、濃縮されていきます。
 そして、人間は、現在、その食物連鎖の頂点に君臨していると言っても過言ではありません。そうです、人間がまいた種は、人間が回収しているのです。
 もちろん、人間ばかりではなく、動物界に広く濃縮されながら回っています。

【減らすなら、生活から】

 今、国内で問題になっているようにゴミ焼却場を改善することは急務です。それとともに、私たちの生活でダイオキシンの発生源をできるだけ出さないことが大切です。まずは分別すること。そして、できるだけ使わないことです。
 ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンやプラスチックを減らす工夫こそ、地道ですが、私たちが直接の加害者=被害者にならないための一歩です。

参考資料:『ダイオキシンが未来を奪う』(編著、河村宏、反農薬東京グループ、発行 反農薬東京グループ)、『奪われし未来』(シーア・コルボーン他、翔泳社)


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