※注意 このページには、漫画及びドラマ「動物のお医者さん」内の動物の扱いに関する苦言・批判的な文章が含まれています。 漫画・ドラマをエンターテインメントとして楽しむにあたって、そのような情報は不要である、ファンとして嫌な面は見たくない、知らない方が幸せなこともある…とお考えの方は、お読みにならない方がよいかもしれません。 管理人としては 「できるだけ多くの方に動物と暮らすことへの覚悟を知っていただきたい」 「動物飼育について考える機会を持って欲しい」 「あの有名な漫画とドラマ内での動物の扱いを常識だと思ってほしくない」 という気持ちでページを作っており、ロボット検索忌避等もあえてしていないのですが、「漫画やドラマの批判を目にしたくないファンの目に触れる機会のあるページなので、ロボット検索忌避もしくは注意書きをしてほしい」とのメールをいただきましたので、注意事項のみ加えさせていただきます。(2005.1.2) |
2003.4月に、テレビ朝日系列でドラマ「動物のお医者さん」が放映されました。 獣医学部を舞台とした佐々木倫子氏原作のこのドラマには、シベリアンハスキーの「チョビ」をはじめ、犬や猫、ニワトリなどの数多くの動物が出演。 わが家の家族である、スナネズミの仲間たちも、ドラマに出演したのです。 まだまだハムスターほど世間で認知されていないスナネズミが紹介されることは喜ばしいことですが、反面心配なこともたくさんあります。 ご存じの方も多いと思いますが、原作の漫画がヒットした頃、世の中に空前の「シベリアンハスキーブーム」が起こりました。 子犬の時のかわいらしさ、ふかふかの毛並み。シベリア出身の彼らが、ペットショップやブリーダーを通じてこの狭い島国にあふれました。 大切な家族としてかわいがられるうちばかりならよいのですが、ブームに弱い日本人のこと。ハスキー犬の性質や飼育情報、大人になってからのことなどの情報をきちんと調べないままに飼い始め、大きくなってもてあます、という問題が続発しました。 散歩もしきれず、サイズをもてあまし、ストレスをためたハスキーたちの吠え声に辟易した飼い主たちが増えました。 彼らの中にはもてあましたハスキーを捨て、処分場で最後の時を迎えるという悲しい結末を迎えた子らも、今でもたくさんいるのです。 これらの悲劇は、そもそもハスキー犬の飼育環境に向いていない日本の住環境…ペット飼育禁止のマンションやせまい住宅…で、ハスキーの性質を知らないままに見切り発車で飼い始めてしまう身勝手な人間が引き起こしたものです。 スナネズミと暮らしている私がドラマ化によるハスキー犬の再ブームと同じぐらい、いえ、それ以上に危惧しているのは、スナネズミブームの到来です。 テレビ朝日の公式サイトは、ハスキー犬を気軽に飼い始めないように注意書きが掲載されており。それはとても評価すべきことなのだと素直に思いますが、スナネズミに関しては簡単な紹介文しかありません。 「犬は無理だけど、スナネズミなら!」「珍しいし、かわいい。簡単そう」「ハムスターより珍しいし、自慢できそう」「子どもの情操教育に」 と、犬よりもっと気軽に飼い始める人が増えるのでは…と、ねずみ飼い仲間と共に戦々恐々としているのです。 実際、私のサイト「スナネズミとわたし」へのアクセス数もドラマ放映日以降倍以上に増えましたし、「スナネズミはどこで買えますか」「スナネズミをください」などの問い合わせも増えています。(念のため、我が家のスナネズミの譲渡や繁殖、里親募集公示の予定は一切ありません) 日本のペット業界、動物愛護精神は欧米に比べてまだまだ稚拙だと言わざるをえませんが、中でも小動物に関してはとても遅れており、情報も少ないのが現状です。 「とっとこハム太郎」ブームでこれだけ浸透したかに思えるハムスターの飼育情報でさえまだまだ希薄です。未だに「ひまわりの種をあげていればいい」「お水はあげなくてもいい」と思われていたり、アニメの影響で「みんなで仲良くする(ハムスターは基本的に複数飼いできません)」「昼間みんなで仲良く遊ぶ(ハムスターは夜行性で、触られるのも好みません)」「いっしょにおでかけ(外に連れ出すのは大きなストレスです。通院以外にはやめた方がよいです)」などと誤解されていたりします。 ましてや、スナネズミ。日本では残念ながらまだ、スナネズミ飼育の専門書は出ていませんし、生体を扱っているショップでもきちんとした飼育指導をできるところはほとんどないと言ってもよいでしょう(ショップの知識はハムスターなどに関しても商業ベースで信憑性が薄いのですが)。 勢いでお迎えしてしまったものの、「なに食べるの?」「どうやって飼うの?」「けんかしちゃったよ?」とあたふたしてからさて、と調べてみても、なかなか情報は集まらず、病気にしてしまったり死なせてしまったり、ということには、どうかしないでほしいのです。 漫画「動物のお医者さん」の中には、スナネズミ飼いとして「これはどうか…」と思うようなシーンがしばしば出てきます。 怖いのは、なかなかスナネズミに関する情報がない中では、この漫画も「飼育の大きな参考書のひとつ」になり得ることです。 漫画やドラマの中では話をおもしろくさせるため、飼育法としてはすすめられない方法やエピソードなどがクローズアップしてとりあげられますが、怖いのは、それを鵜呑みにして「スナネズミってこういうふうに飼うんだ」と信じて実行してしまう人が増えることです。 せまい水槽にぎゅうぎゅうに飼い、お菓子や塩分、脂肪分のたっぷり入った人間の食べ物をあげ、お風呂に入れたり酒を飲ませたり…信じられないようなことを、「だって漫画ではやってたから」とやってしまう人は、いるのです。 ドラマでは残念ながら原作にあるお酒を飲ませるシーン、密飼いのシーンなど、また、ネズミ嫌いの青年が出くわしたハムスターを放り出したり、うかつに猫を近づけたりするシーンが放映されてしまいました。事前に視聴者から釘を刺されていたせいか「放映では本当のお酒は使用していません」「ドラマのチョビは生後7か月以内の幼犬で劇中の設定とは異なります。」などのテロップが小さく入りましたが、ビジュアルイメージが与える影響というのは大きいものなのです。 以下に、漫画原作に登場するシーンなどから受けやすい、スナネズミに関する誤解を書きだしておきます。 どうか、安易に彼らをお迎えしませんように…お迎えした時には、小さな家族として大切にかわいがって、元気に一生をおえさせてあげられますように、切に願っています。 |
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2004.12.1 水底 沈(「スナネズミとわたし」管理人)
■視聴メモ) |
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■情報が少ない動物です 専門の飼育書は日本にはありません。ペットショップや獣医さんでも詳しい人は少ないです。 ■お世話の手間はたいへんです 小動物はとても繊細でお世話は大変な生き物です。子どもが飼うのには向いていません。 ■案外お金がかかります えさや巣材だけでなく、電気代や医療費が案外かかります。子どものお小遣いでは厳しいです。 ■病院探しはたいへんです 現実にはスナネズミを診てくれる病院はとても少ないのです。病気やけがをしてからの病院探しをするのは手遅れです。 ■人間の食べ物をあげてはいけません お菓子やそうめん、酒などを与えるのはよくないことです。 ■実験動物と、愛玩動物は違います きとんと広さを持ったケージや水槽で、バランスのとれたフードで育てましょう。 ■無計画な繁殖、近親繁殖はよくありません せまいケージでたくさん飼うとけんかなどのトラブルのもとになります。また、オスとメスをきちんと分けて飼わないとどんどん増えてしまいます。 ■ストレスに弱い動物です 犬や猫との同居は大きなストレスです。ハンカチを丸めて投げると気絶する、というのは嘘です。お風呂に入れるのはやめましょう。 ■ねずみは差別されます 「汚い」「キモチワルイ」「ねずみなんか」といわれのない差別を受けがちです。 ■「いつも幸せ」ではありません 「何も考えていない」というのも嘘です、スナネズミも悲しみ、怒り、へこみ、鬱になることもあります。気持ちをわかってあげる努力をしましょう。 ■お別れは、必ず来ます 小さくても大事ないのちです。いいお別れを迎えることが出来るように、きちんと飼いましょう。 |
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■情報が少ない動物です | |||||
試しに、本やさんのペット関連コーナーでスナネズミのことが載っている本を探してみてください。ハムスターの飼育書はたくさん置いてあっても、スナネズミの専門書はありません。よくよく探すと、小動物の飼い方が載っている本にほんの数ページだけ紹介されていたり、しかも内容は「ハムスターと同じでよい」と書いてあったりします。 残念ながら、スナネズミに関する情報を日本で手に入れるのはとてもたいへんです。習性やよい飼い方、えさについてなど、海外では専門の飼育書が出ていても、日本では見つかりません。 また、スナネズミ自体あまりショップで売られていることも少ないですし、お店の人も詳しくないと思います。 こういう状況でスナネズミを飼い始めると、すぐにたくさんの疑問に突き当たって立ち往生します。なにを食べるんだろう?どのくらいあげたらいいんだろう?巣材は?どんな病気をするの?けがをしたら、どうしたらいいの? また、「スナネズミフード」のような専用のフードは売られていませんし、病院にかかってもスナネズミの臨床事例が少ないため診療できないところがとても多いのです。 まわりに飼っている人がいなければ実際のところどうなのか聞くこともできません。 英語の飼育書や海外のサイトを苦労して読み解いたり、インターネットで情報を集めたり(これもまだまだ潤沢だとは言えません)、かなりの努力が必要です。 「情報がない」ことがどれだけ飼育を難しくさせるかは飼い始めてみないとなかなかわかりませんが、飼い始めてから病気やけがの対応に困ったり、知らなかった習性に悩まされてからでは遅いのです。 「きちんと飼うために調べて実行する努力は惜しまない、いざという時の責任はきっちり自分でとる」と覚悟してからお迎えして欲しいと、切に願います。 |
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■お世話の手間はたいへんです | |||||
ハムスターやスナネズミ、うさぎ、モルモットなどの、一般的に「小動物」と呼ばれている動物は、しばしば「犬が飼えないから代わりに」「子どもにも世話が簡単にできるし、情操教育にいいと思って」「飼いやすいから」と誤解され、飼い始められることが多いようです。 しかしこれは本当に大きな誤解です。小動物のお世話は大変です。子どもにはおすすめできません。 また、若く元気な時ならともかく、病気をした子や年をとった子のケア…点眼、点鼻、傷の消毒、それらのための保定、介護食の給餌など…は想像よりずっと大変です。 「今この瞬間、自分がかわいさを楽しめればいい。すぐに死んでしまったり病気になってもかまわない」という飼い方ならともかく(そんな人はどんな生き物でも飼うべきでありませんが)、少しでも元気で長生きさせたい、幸せに飼ってあげたい、という気持ちがあるならば、お世話は大変です。覚悟してください。 まず、気温や湿度の管理。寒さにも暑さにも湿気にも弱いです。エアコンは必須です。きれい好きな動物です。そうじはこまめに行う必要があります。怠ればにおいますし、腸内細菌のバランスが崩れて体調を壊します。体の小さいねずみたちにとって下痢は命に関わる症状ですし、なにしろ体全体の血液の量が少ないのでちょっと血を流しても死んでしまったりします。 長いしっぽはマウスやラットとちがって、つかむと切れてしまったり、ずるりと皮がむけて骨が露出してしまったりします。しっぽをつかむのは厳禁です。 そして、毎日のお世話をきちんとするためにはかなりの時間を割かなければいけません。学校から帰ったり仕事を終えて帰宅した後、自分の時間をねずみのために毎日毎日割くことができますか? ストレスに弱い彼らのこと、外泊のできないタイプの子もいます。そのために、旅行や映画、友達との楽しい食事、デートなどをあきらめることができますか? スナネズミはしばしば「ハムスターと同じでしょ」と混同されがちですが、性質はずいぶん違います。神経質な個体が多く、「びびり」です。音や雰囲気の変化に敏感に反応します。ストレスや怖さのあまり噛みついてしまう、ということも多々あります。人には慣れにくく、ずっと長く飼ってもなつかない子はたくさんいます。 「肩に乗せて歩きたい」「名前を呼んだら来て欲しい」「ふわふわの毛皮をなでたりさわったりしたい」という気持ちで飼い始めると失望させられることと思います。アニメの動物とは違うのです。犬や猫と違ってなでてかわいがるペットではありません。 そもそも、「ねずみ算」というようにねずみたちの繁殖力が強いのは、ひとえに「死にやすい」からなのです。ちょっとしたことで死んでしまうので、種族が絶えないようにたくさん子どもを産むのです。 そんな死にやすい動物を健康に長生きさせるのはなかなかに大変なことです。子どもの力では、無理です。「責任持って世話するから」という言葉に、しつけも兼ねて買い与える親もいますが、子どもの「責任持って」「ちゃんと」は、いずれ嘘になる可能性が高いものです。飽きてしまっても、おもちゃと違ってしまいこんだり放り出すことはできません。小さいけれど、ちゃんとした命です。おもちゃや教材ではありません。決して「子どもに向いている動物」とは言えないと思います。 |
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■案外お金がかかります | |||||
「ねずみならあんまりえさも食べないし、せいぜいカゴぐらいでしょ、予防注射もしなくていいし、犬よりお金かからないよね」と安易に思いこんでいる人は多いものです。 そのせいで、親も子供のペットとして気軽に買い与えてしまうことが多いようです。 ところがどっこい、実際に飼い始めてみると、案外お金がかかります。どんな動物であれ、いのちのある生き物を飼うという行為自体、ぜいたくなものなのです。 ケージ(水槽)、敷き材(チップ、牧草)、えさ鉢、回し車、水飲み器。 これだけそろえれば、あとはえさだけ。えさだって1箱数百円だし… いえいえ。他にもたくさんの「メンテナンス費」がかかるのです・ スナネズミはもともとモンゴルの乾燥した砂漠(といっても砂だらけではなく、乾いた平坦な草原地帯)に住んでいた動物です。 湿度に弱く、つまり日本の湿潤な気候にはむいていない体のつくりをしています。 彼らの健康を保つためには、エアコンや乾燥機のお世話になる必要があります。人間の体感湿度・温度に頼っていてはだめです。かならず湿度計、温度計を使います。 計ってみると、案外高かったり低かったりするものです。 適正な気温や湿度に設定し、大きな温度・湿度変化のない環境を日本で年中作り出すには、エアコンや除湿機は必須です。ホットカーペットや加湿器も、場合によって必要になります。 夏場と冬場はエアコンは24時間フル回転になりますので、当然電気代はかかります。飼い主が留守にしている昼間などもねずみは家で過ごしているわけですから、「いない時はクーラー消しなさい」と家族に怒られるような環境では飼えません。 また、実際かかってみて大きいと感じるのは医療費です。「ねずみに病院なんて!」と思う人はできるだけ飼育をあきらめてください。ねずみだって病気もけがもします。自然に治るだろう、などと野生の力に期待しないでください。 スナネズミには特定に疾患を持っている者がおり、また、実験動物として広まった経緯から、遺伝的に心臓が弱い家系、腫瘍にかかりやすい系統などもあります。 動物には健康保険がありませんから、医療費の出費にはかなりの覚悟が必要です。 病院にもよりますが、簡単な健診で\1,500〜、レントゲンやエコー検査で\3,000〜\5,000、レーザーでの簡単な手術で\15,000〜、簡単な腫瘍の手術で\30,000〜\50,000(またはそれ以上)、などなど。 そうです。千円程度で買えるねずみに、医療費は数千円、数万円とどかんどかんとかかるのです。 また、医療費をかけてお世話しても、どうしようもなく亡くなってしまうこともあります。小さい体のねずみからは採血検査は難しく、病気の原因をつきとめることが難しい場合も多いのです。また、通院のストレスにも弱く、病院に行くだけでもかなり消耗します。注射のストレスでショック死することもありますし、麻酔から覚めずに死んでしまうこともあります。投薬も大変な手間です。 「だから医者には行かない」のではなく、これらの覚悟ができないなら飼わない方が無難だということです。 決して、「安い動物」ではないのです。
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■病院探しはたいへんです | |||||
スナネズミをお迎えする前に、最初にスナネズミを診てもらえる「動物病院」を探して下さい。 小動物(獣医師さんの世界では「犬猫」も小動物です。牛馬等大動物を診る獣医師さんもいらっしゃいます。)を診てもらえる、そして「スナネズミ」を診てもらえるところをぜひ探して下さい。 あなたの家の近くには、何軒ぐらい動物病院があるでしょうか。そのうち、何軒ぐらいがスナネズミを診てくれるか、知っていますか? 実際には残念ながらまだまだとても少ないのです。電話して聞いてみても、「ネズミはちょっと無理」「診るだけ診るけど治療はできませんよ」というところが多いのです。 簡単に診てくれても、小動物に詳しくないためにただ抗生物質を処方するだけだったり、加減がわからずに余計に具合を悪くされてしまうこともあります。 「あーあ、こんな小さいの連れて来ちゃって…」と露骨にいやな顔をするところすらあると聞きます。 また、診てくれるところでもその診療の質は様々です。スナネズミの診療経験がある先生が少ないため、前例に基づいた治療もできにくいのです。 ひとつの病院を信じて治療をまかせていたために手遅れになることもあります。病院まかせにせず、飼い主がきちんと知識を身につけて、積極的に「病院を、医者を選ぶ」ことも大切です。 スナネズミが病気をする前に、毛安気なうちに健康診断がてらあちこちよいところを探しておくとよいでしょう。病院側の対応もよくわかります。 最低限、触診・目&耳&歯&呼吸音などの検査、尿&便検査ができるところを選びましょう。 スナネズミは体は小さいため、血液検査や細胞検査ができにくい動物です。病気や体調不良の原因がつかみにくく、正確な治療方針を立てるのも大変です。 体の小ささは、治療行為のひとつひとつに関わります。注射ひとつ、麻酔ひとつ、薬の量ひとつがいちいち命に関わります。 通院自体、大きなストレスです。 スナネズミの命の責任は飼い主のものです。医者にかぶせてはいけません。治療方針や薬について等きちんと話を聞き(きちんと説明してくれるかどうかも重要なポイントです)、方針を決めましょう。 また、小動物は本能で具合の悪いことを隠すので、「元気がない、ご飯を食べない、下痢をしている」と目に見えてわかる段階では、かなり病気が進行しすぎてしまっている場合があります。 日頃から、予防やケアは怠らないようにして、よく観察して彼らのサインを見のがさないようにして下さい。 |
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■人間の食べ物をあげてはいけません | |||||
人間用のお菓子(せんべいやクッキー)、そうめん(塩分が多い)、酒(論外)などは決してあげないようにしましょう。ものを食べるねずみの姿はカワイらしく、ついつい口当たりのよいものをおもしろがってあげたくなるものですが、それらは確実にねずみたちの寿命を減らし、体の具合を悪くすると苦しむかわいそうな姿を見なければならなくなります。 特に、チョコレートやアルコールは毒です。中毒を起こして急死することもあります。 ほかにも、タマネギやネギ類、 「人間用のものをあげないように」ということと矛盾するようですが、ペットショップで売られている「ハムスター用」「小動物用」も鵜呑みにしないことです。 日本ではスナネズミの専用フードというものは売られていません。ハムスター用にしても、カロリーの高いものや着色・着香がきついものなど、スナネズミの健康によいとは言えないものがあふれています。 残念ながら日本のペットフード業界の意識はまだまだ低く、「見た目がきれいでかわいく」「人間から見ておいしそうで」「子どもが親にねだるようなパッケージの」「コストが安く作れる、保存性のいいもの」が主流です。 また、「ハムスターの主食はひまわりの種」という間違った伝説がまだあるように、ナッツや種類を中心としたカロリーの高い、繊維質の少ないミックスフードが売り場の大半を占めています。いろいろ入っているので栄養バランスが優れているようみ見えますが、あれは「チョコレートアソート」「クッキー詰め合わせ」「焼き鳥盛り合わせ」「ケーキバイキング」のようなものです。あればかり食べていたら確実に太り、病気をしやすくなります。ましてや、クッキー・スナック状の「ハムスターのおやつ」の類は、全く必要ありません。 モンゴルの草原はどういうところか調べてみて下さい。ヒマワリの種もビスケット もありません。 パッケージにだまされず、必ず内容を確かめ、よいものを選んであげましょう。 歯を削るためにも固さのある、そして成分的にもバランスの取れた「ハムスター用の固形ハードペレット」「実験動物用ハードペレット」をメインにするのがよいのですが、これを扱っているお店は多くありません。インターネットなどで探し、通信販売で入手するのが早道です。 場合によっては人間用の雑穀類や自然食品店の食材を取り入れるのもよいと思います。(手作りする方法もあります。こちら) そして水は必ず用意します。 水は飲まないんじゃ?と思うでしょう。でも草原にいるんです、草が生えるのなら 水もあるのです。きれいで新鮮な水を給水器に用意して、毎日きちんと取り替えましょう。 |
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■実験動物と、愛玩動物は違います | |||||
スナネズミは、日本では実験動物として広まりました。大学や研究室の実験動物として飼育されることが多く、「動物のお医者さん」中でも、漆原教授が「もう実験で使わなくなったから」とハムテルに押しつけていますね。 ハムテルの飼い方は、正直言って「実験動物の飼い方」です。せまいケージにたくさん(おそらく45cm幅水槽に10匹以上)飼うのは、実験動物を「生かしておく」ことは可能でも、愛玩動物として、家族としてかわいがり、楽しく快適に暮らしてもらえる環境とは言えません。 最低限、45cm水槽であれば2〜3匹までが限度だと、私は思います。 スナネズミはハムスターと違って複数飼いできる、と一般には言われていますが、人間社会と同じく「相性」というものはあります。特に性成熟後のねずみたちは、ちょっとした行き違いで殺し合いの大げんかになることもあります。 複数でお互い毛づくろいをしあったり、くっついて眠ったりするスナネズミは愛くるしいものですが、あくまでも慎重に彼らの空気を読みつつ、少しでもいさかいの兆候が見えたら別居させるなり、トラブルの原因を改善するなどの綿密なケアが必要です。 「ある日突然殺し合いに! 動物だもん、仕方ないよね」と勘違いしないでほしいものです。今まで仲良くしていた子が、突然のひどいケンカになることは、ありえません。必ず兆候があるはずなのです。彼らはサインをきちんと出しています。それを読めないのは飼い主の失策で、ケンカで死なせてしまうようことがあれば、それは飼い主が殺した、ということなのです。 四六時中様子を見ていられないような環境で複数飼いをするのであれば、少しでも怪しい兆候があれば別居させるのが賢明だと思います。 「1匹だとさみしそう、かわいそう」というのは、人間のエゴです。今までずっといっしょに暮らして来た子を引き離せばさみしがりますが、子どもの頃から1匹飼いすればそれなりにその環境に慣れて生きてゆくものです。その子を寂しがらせないように飼い主が心を砕いてお世話すればいいわけで、思いこみで仲間を同居させたり、無理にお嫁さんやお友達を引き合わせたりするのはトラブルの原因になります。 |
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■無計画な繁殖・近親繁殖はよくありません | |||||
よく「ねずみって増えるでしょ、大変だよね」と言われることがあります。 確かに、性成熟したオスとメスをいっしょにしておいたら彼らは本能に従って繁殖します。増えすぎて困るのは、スナネズミのせいではありません。きちんと繁殖管理をしない人間が悪いのです。 妊娠期間24〜26日。後発情(出産後すぐ発情する)の為の後追い妊娠があります。その場合は受精卵着床がおくれるので、妊娠期間は30日〜と言われます。出産仔数は平均で5〜7匹。生後5日で耳が立ち、16〜18日で目が開きます。完全離乳には1ヶ月程度必要です。 毛色の種類によって致死遺伝子が働くので、ペアリングには注意が必要です。 スナネズミはオスも子育てに参加し、お父さんが子ども達の世話をかいがいしくする姿はかわいらしいものですが、その場合は後追い妊娠の危険を覚悟しなければいけません 「ねずみ算式に増える」のは、ひとえに人間の管理ミスなのです。無理な繁殖は母体を弱らせますし、近親繁殖は特定の病気の発生確率を高めます。 飼いきれないほど、また引き取り手に困るほど増やしてしまうと、かわいがってくれないもらい先に無理に押しつけることになったりするなどの問題が発生します。 繁殖はくれぐれも慎重に行いましょう。 また、「スナネズミは群れ飼いができる」と言われますが、個体差です。 メス同士が良いとかオス同士が良いとか、いろいろ言われています。 言われるということは、絶対大丈夫という組み合わせはないということです。 例えば「2匹のメスを飼う」のなら、いずれ「1匹ずつになるので、ケージもスペースもお世話の2倍になる」と思って下さい。 |
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■ストレスに弱い動物です | |||||
ねずみは、ねずみ算式に増える点というのが定説です。確かにオスとメスを分けずにおけばどんどん増えます。スナネズミの場合、一回の産子数6〜8匹が平均で、妊娠21日程度で出産します。 どうしてねずみは繁殖力が大きいのでしょう。それは、「死にやすいから」です。 漫画原作に「逃げ出したスナネズミにハンカチを丸めたものを投げて、気絶させてつかまえる」というシーンがあります。あれだけ読んでいると、さもそれが全てのスナネズミの生態のように読みとれてしまいます。 少なくともわが家のねずみたちにハンカチを投げたぐらいで気を失うような者はいません。(逆に、掃除機をかけていてもがーがー寝ている者もいたりしますが)あれは、たまたまの話をエピソードとしてとりあげているのだと思います。 スナネズミの中には先天性のてんかん気質を持っている子がいて(わが家にも2匹ほどいます)、巣材を入れ替えたり大きな音がしたりした時などにびくびきしながらジャンプを繰り返すなどの行動を見せます。 これは持って生まれた体質と性格なので仕方がありませんが、驚きやすい子を脅かせば当然それは大きなストレスになります。 くれぐれも、気絶する姿を見たいためにわざわざハンカチを投げて脅かすようなことのないようにしてください。 また、猫や犬といっしょに飼育するのはできるだけやめてください。 いくら厳重に見張っていたりケージを丈夫にしたりしても、「自分を食べるかもしれない大きな生き物」に見られている環境は、彼らにとってストレス以外の何物でもありません。あなたは、ガラスの外にいつも怪獣がうろうろしている環境で落ち着いて眠れますか? |
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■ねずみは差別されます。 | |||||
汚い、気持ち悪い、たががねずみに…動物を飼っている人や獣医にさえ言われることがあります。 しっぽが長いから、と敬遠されがちなところもあります。特に年輩の女性などは「ねずみなんて!」と毛嫌いしている人が多いようです。 犬や猫ほどには、まだまだ日本ではペットとしての意識が高くないことは覚悟しておきましょう。 |
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■「いつも幸せ」ではありません。 | |||||
スナネズミは大きなたれ目のせいか、「いつも笑っている」「だから幸せ」だと誤解されやすいねずみです。 「動物の〜」の中でも「いつも幸せそう」と書かれています。 こんなことを胸を張って言うのもどうかと思いますが、それは、うそです。 スナネズミにだって、悲しいときも、怒りに燃えることも、失望に沈み込むことも、失敗に照れることもあります。もちろん、うれしくて楽しくて喜んでいることだってあります。 目がたれているからといって、「幸せなんだね」と勘違いしないでほしいのです。よくよく彼らとつき合って、表情やしぐさから、気持ちや体調を読みとってあげてほしいのです。 彼らときちんと向き合うと、笑っているときばかりではないのがよくわかります。 子どもを守ろうとして怒りに燃えているママの目。 妻子と別れて絶望に沈んでいるパパの顔。 体調が悪いのを必死に隠して冷静でいようとしている背中。 彼らの気持ちや表情を読みとろうとする努力をしなければ、この小さな命を守ることは出来ません。 「何も考えていない」というのも嘘です。いろんなことを考えています。いっしょに暮らしていた仲良しさんが死んでしまったために悲しくてごはんを食べなくなる子もいます。たいくつで機嫌を悪くすることや、天候が良くなってうきうきすることもあります。 小動物は、体の不調やけがを隠します。これは野生の本能です。調子が悪いのを悟られてしまうと、敵のかっこうの餌食になってしまうからです。 ですから、明らかに体調が悪そうにはあはあしていたりひっくりかえったり痛そうにしていたら、それはかなり病状が深刻に進行しているということなのです。 ちょっとした変化を読みとって早め早めに対策してあげることが、ねずみの健康管理の基本です。 すなねずみは「楽しい!幸せ!」「嫌いだ!むかつく!」等としゃべりません。 全身で訴えてきます。その訴えてくる「サイン」をどうか見のがさないで下さい。 笑ってもらう、幸せだと感じてもらうには、あなたとの付き合い方次第です。 |
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■お別れは、必ず来ます | |||||
スナネズミの寿命は、約3年〜5年。どんなにがんばってかわいがって育てても、10年生きるということはありません。腫瘍や心臓病などの病気で、もっと早くさよらなしなければいけないこともあります。必ず、お別れがやってきます。 かわいがればかわいがるほど、お別れはつらいものです。小さい動物だからといって悲しさにかわりはありません。 私は2002年の秋に、最愛のスナネズミ「むぎ」とお別れしました。卵巣腫瘍でした。 夏から少しずつ病状がすすみ、投薬や看護のかいなく、10月のよく晴れた日に彼女は冷たくなりました。 少しずつお別れの覚悟をしていたとは言え、心がばらばらにちぎれてしまうかと思うほど悲しかった。自分の無力さに、気が狂いそうになりました。 新しく動物をお迎えしよう、と思い始めた時、人はいいことしか頭にないものです。 「かわいい!飼いたい!」と興奮して、脳内麻薬物質が出まくっている時なので仕方のないことかもしれません。ふわふわかわいい毛並み、愛らしいしぐさ、あたたかみ、じっと見上げるけなげな目。彼らが自分の人生に加わることでやってくる面倒な手間や病気やけがの心配、お別れのつらさまでは、なかなか思いを馳せることができないのです。 でも、彼らはぬいぐるみやおもちゃではありません。生きた肉体を持った動物です。うんちもおしっこもします。こちらの思うようにならないこともたくさんあるし、病気もすれば噛みついたりものをこわしたり。 そんなマイナスの部分も含めて、スナネズミを愛することができますか?少しでも彼らにいい人生を送ってもらうお手伝いをしながら、いつかお別れする日を覚悟して迎えることが、できますか? |
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