SYSTEM COLLAPSE
マーサ・ウェルズ
2023

「マーダーボット」シリーズの4冊目が出版された。嬉しいねえ。この時代に翻訳してくれるだけありがたいじゃないか。「マーダーボット・ダイアリー」「ネットワーク・エフェクト」「逃亡テレメトリー」に続く作品だが、ストーリーとしては「ネットワーク・エフェクト」の直後からの「続編」である。本書冒頭には「ネットワーク・エフェクト」のあらすじがラストまで含めてざっくり紹介されているが、悪いことは言わない。まずは、「ネットワーク・エフェクト」を読んで、その直後に本書「システム・クラッシュ」を読むことを強くお勧めする。
とはいえ、「ネットワーク・エフェクト」はそれ自体で完結しており、続編の本書を読まなくても満足感は十分にある。本書の目的は一言で言えば、「自由の獲得」である。企業政体に騙されて労働奴隷として連れて行かれそうな人たちを、「弊機」の側である大学と非法人政体が協力して説得し、自分達の自主決定権を主張して惑星に残るか別の植民星で自由民として生きるかという選択を選ばせようとするのである。はたしてうまくいくのか?惑星の人たちはいろんな分派に別れているし、企業側は狡猾だし、「弊機」はなんだかトラウマでフラッシュバックみたいな症状を起こしているし。人間たちは新たな関係が生まれていて、それはそれでややこしいし。企業側から新たな宇宙船できちんと統制されている警備ユニットが次々と送り込まれてくるし。
ということで、「弊機」壊れかかっています。壊れかかっているからといって、逃げないところが「弊機」のいいところです。辛くなったら「サンクチュアリムーンの盛衰」も見ます。古くて性能の劣っているシステムのAIも、すぐに乗っ取ろうとせず、しっかり対話しようと努力するようになっています。存在として「成長」しています。
最後はちょっと感動ものです。