黒き計画、白き騎士

BLACK PROJECTS, WHITE KNIGHTS

ケイジ・ベイカー
2002

「時間結社<カンパニー>極秘記録」、カンパニーシリーズとして書かれた短編をまとめた連作集である。おそらくは24世紀、秘密結社カンパニーが成立したと考えられる。そこでは過去に遡る技術と、人を不老不死のサイボーグとして改造する技術が生み出された。カンパニーは有史以前から直近の時代にいたるまで、歴史から消え去るべき存在を採用?調達?徴用?し、不老不死のサイボーグに変えてミッションを与える。歴史を変えることなく、過去の貴重な植物や芸術品などを未来に持ち帰るのだ。持ち帰るといってもカンパニーの過去に遡る技術は未来に戻る技術ではないので、エージェントが適切な時に保護(窃盗、接収)し、適切な場所に隠し、時が来たら「再発見」されることになる。そうやって過去からの贈り物によりカンパニーは新たな科学的知見と財をなすことができるのである。カンパニーは歴史の過程でいくつもの名前を持ち、その時々で同じことをしてきた。最強の秘密結社である。
 さまざまな時の狭間でミッションを与えられたエージェントたちの苦闘。そして、あるひとりの少年の物語が、いくつもの短編となって現れてくる。
 それぞれの短編に歴史があり、未来がある。
 日本ではこの短編集1冊のみ翻訳されているが、1997年から作者が亡くなる2010年まで長編も数多く出されており、また、死後も作者と同居していた方が長編と短編で、このカンパニーの世界を数冊出版している。
 この短編集は、導入みたいなものだ。魅力的な登場人物が何人も出てきて、きっとどこかの長編では主人公だったり、別の活躍をしたりしているんだろうなあと想像できてしまう。おもしろいし、おもしろそうだ。
 でもきっと翻訳されることはないのだろう。
 時代が許さない。
 英語を読むしかないのだろう。不老不死になりたい。