映画 地球最後の日

When Worlds Collide
1951

 ルドルフ・マテ監督作品、制作ジョージ・パル、配給パラマウント。SF映画の古典のひとつである。原作はフィリップ・ワイリー&エドウィン・バーマーが1932年に発表した同名のSF。
 こちらについては、
https://inawara.sakura.ne.jp/halm/2005/05/04/when-worlds-collide/
に詳しく書いている。

 原作が戦前、映画も戦後すぐであるが科学的考証については、1950年当時からしても荒唐無稽なものである。それをおして映画作りを楽しんでいる制作陣の熱のようなものを感じる。

 ストーリーはこんな感じ。
 地球に巨大な放浪惑星ベラスと地球と同じぐらいの惑星ザイラが急速に近づいていることを天文学者が発見する。ベラスが地球への衝突コースであることを研究者たちは検証し、惑星ザイラに移住し人類が生き残れるわずかな可能性にかけて世界中でロケットをつくるよう提言するが、衝突しないという科学者もあり、対応は遅れてしまう。
 しかし、一部の研究者と支援者がロケット製造に乗り出す。地球最後の日までの残された時間は短い。そして、本当にザイラで生き残れるかどうかさえ分からない。わずかな人数のために大勢の人間がプロジェクトに関わる。ロケットに乗れるかどうかは最後の最後にくじで発表される。わずかな希望、かすかな希望。そしてロケットは破滅直前に地球から脱出するのだった。
 極限状態に置かれたとき、人はどのようにふるまうのか。愛を見つけるのか、個の生存本能のままに動くのか、それとも未来の希望のために自己犠牲を厭わないのか…。
 滅亡パニックものの定番である。
 のちの多くの映画や特撮ドラマの原型ともいえよう。
 なかでも「ロケット」は、20世紀前半のSF造形の典型のような形である。金色に光り輝く涙滴型にで先端は鋭く尖り、後端はイルカを思わせる尾翼(着陸翼)。射出レールに乗ってすべるように打ち出される「未来美」である。
 あこがれの未来。来なかった未来でもあるのだが。

 21世紀の今となっては突っ込みどころ満載である。
 ひとつずつ科学的に突っ込みながら見るのも楽しいかも知れない。

映画 地球の静止する日

1952
The Day the Earth Stood Still

 古典SF映画の名作である。リメイクされた作品は見ていないのだが、これはオリジナル。70年以上前の作品である。監督ロバート・ワイズ。
 空飛ぶ円盤飛来! 巨大人型ロボット! 人型の宇宙人のファーストコンタクト!
 全部揃っているが、ストーリーは冷戦時、核戦争の恐怖におびえる世界を描いている。

 話はこうだ。世界中で空飛ぶ円盤の飛行が目撃された。その円盤はアメリカの首都に着陸した。あわてて警戒し、戦車をはじめ軍が円盤を取り囲む。その周りにはたくさんの野次馬となった人々の姿がある。円盤からは、銀色の服を着た人間そっくりの男が降り立った。円盤を降り、近づいてきて英語を話し始める宇宙人クラトゥ。しかし、動揺したひとりの兵士が彼を撃ってしまう。そして、円盤からは巨大なロボットが登場し、武器や兵器を破壊しはじめる。クラトゥはロボットを制止し、地球の病院に運ばれていく。
 病院で驚くべき回復力を見せるクラトゥ。彼は「この国の責任者との面会」を要求する。そして、全世界の国家指導者を一堂に集め、そこで来訪の目的を語るという。その願いが叶えられなければ地球はたいへんな危機に陥るというのだ。
 しかし、冷戦下の不信に満ちた世界で、たとえ国連があっても国家指導者が一堂に集まることはなかった。
 クラトゥは地球人の考え方を知るため、病院から逃げだし、宿に泊まることにした…。

 第二次世界大戦は、アメリカが日本に原爆をふたつ落としたことで終結した。アメリカは核を持つことで世界の覇権をにぎることになった。しかし、東西に分かれた世界で、その覇権は長く続かない。ソビエトもまたその国力の元で核兵器を開発し、ふたつの超大国が互いに核ミサイルを向け合って、どちらが最終兵器を先に使うのかと不信と不安に満ちた時代を迎えていた。
 冷戦とは、最終戦争、核戦争の危機を日々過ごすことだったのだ。
 そんな時代の映画である。

 絶望の中に人は外からの圧力を求める。「オーバーロード」ものである。SFには圧倒的に進んだ地球外文明が人類の指導者として登場するジャンルがある。この映画もまた、そんなオーバーロードの作品である。
「もはや自分達だけではこの危機を乗り越えられないのでは?」という不安がそれ望むのだろうか。
 70年前の作品を見ながら、70年後にふたたび訪れた核戦争の危機を感じつつ、オーバーロードなしに乗り越えるしかないと思うのであった。

映画 最後にして最初の人類

last and first men
2020

 2018年に急逝した音楽家ヨハン・ヨハンソンが監督した映画作品である。
 そして、オラフ・ステーブルドンの小説「最後にして最初の人類」が原作である。いつか読まなければいけないと思っている1930年!に書かれた20億年未来の人類から現代の人類に送るメッセージの物語である。
 オラフ・ステーブルドンといえば、「オッド・ジョン」「シリウス」ぐらいしか読んでいない。ほぼ戦前の作家である。しかし、「最後にして最初の人類」が後のSFや様々な芸術、科学に与えた影響は大きいと聞く。偉大なる小説家なのだ。

 この映画はヨハン・ヨハンソンが急逝したことで完成は遅れたが、遺作として仕上げられた。
 見終わって最初に感じたのは映画監督アンドレイ・タルコフスキーのことである。「サクリファイス」「ノスタルジア」といった静かな時間の中に流れる人の物語、それに「惑星ソラリス」や「ストーカー」といったSF作品に描かれる人の物語。それと同じものを感じる。と同時に、同様にたぶん夢うつつになってしまう映画だ。

 本作品に人間は映像としては登場しない。はでなCGもない。モノトーンでいくつかの建造物とその風景がヨハンソンの音楽に乗って流れていくだけである。そして、ときおり女性の声で20億年の人類の物語が語られていく。

 音楽と、映像と、ティルダ・スウィントンの声。
 たったそれだけなのに、宇宙の広大さ、時間と空間のなかに刹那に存在する生命のはかなさ、せつなさ、かなしみ、希望、喜び、可能性、そういったものが心の奥底に響いてくる。
 我々が存在する宇宙が誕生して137億年、太陽系が誕生して46億年、地球に生命が誕生して35億年、「我々」現生人類が登場して20万年。太陽の寿命はあとおよそ50億年ほど。しかし地球の寿命は太陽のふるまいによって変わる。それでもあと5~10億年程度と見積もられている。
 20億年後、仮に人類の末裔が存在するとしても、すでに地球を離れ、ひょっとすると太陽系を離れているかも知れない。姿も、思考も、なにもかもが変化しているだろう。20億年あればひとつの方向だけではないかもしれない。
 それでも、タイトルにあるように「最後の」人類からのメッセージが届く。
 それはどのようなものなのだろうか。

公式サイト https://synca.jp/johannsson/

映画 サリュート7

Salyut-7
2016

 クリム・シペンコ監督のロシア映画。吹き替えで見た。なんというか、アメリカの「アポロ13」のロシア版という感じだろうか。この映画を見ると、ハリウッドの同様の映画が「アメリカ万歳!」をやっているなあと感じてしまう。つまり、ロシア万歳!なのだな。
 そういうのって日本の映画でもあると思う。プロパガンダ臭。でも、見ちゃうんだよね、こういう科学人間ドラマって。
 ストーリーは「アポロ13」同様に、実話に基づいている。ロシアの宇宙ステーション・サリュート7号は、1982年に打ち上げられ、何度も有人運用されていたが、1984年7月に無人となっていた。1985年2月、サリュート7号は突然電源喪失、制御不能に陥る。このままでは制御できないままに大気圏に落下する可能性もあることから、復旧のためにふたりの宇宙飛行士がソユーズT-13でサリュート7に向かう。手動ドッキングを成功させ、いくつもの困難を乗り越えて修理ミッションを行なう。
 この機能停止からの修理ミッションを描くのが、映画「サリュート7」である。
 今日の映像技術は、別にハリウッドだけのものではない。宇宙空間と宇宙から見た地球、1985年という40年近く前の風景や技術シーンが丹念に描かれている。それを見るだけでも心躍る映画である。
 1985年、それはロシア連邦らがまだソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)と呼ばれていた頃のことである。米ソ冷戦は続いており、宇宙開発競争は冷戦のひとつの形態でもあった。秘密主義、官僚主義、それはアメリカにもソビエトにも言えたのである。
 そのような条件下で、実現困難と思われた修理ミッションに挑むふたりの男。サリュート計画に初期から関わりシステムを知り尽くす男ビクトル。彼には若い妻がおり、初めての子の出産を間際に迎えていた。もうひとりは、ベテラン宇宙飛行士のウラジミール。サリュートへの長期滞在経験があり、操船技術にも長けてはいたが、心理的問題があるとして現役からはずされ退役者として妻や子と静かな生活を送っていた。
 彼らがこの困難なミッションに行くのはなぜか。それは要請を受けたから。そして、自分達ならできると信じているから。家族の不安をよそに状況も分からないスペースステーションを復旧させるべく、ふたりはソユーズに乗り込むのだった。
 時をほぼ同じくして、アメリカのスペースシャトル「チャレンジャー」が打ち上げられることになっていた。しかも、チャレンジャーのカーゴスペースは偶然にもサリュートを収容可能なぎりぎりの容積を持っていた。アメリカのソビエトの宇宙技術を盗られるわけにはいかない。ミッションが不調に終われば、ソビエトはサリュートをミサイルで破壊することも決めていたのである。ふたりは無事にミッションを達成し、地球に生還することができるのだろうか?

 そうか、チャレンジャーか。チャレンジャーが爆発事故を起こすのは1986年のことである。1985年は科学技術の勝利の年だったのだ。そういえばつくば万博が開かれたのも1985年のことだった。電電公社がNTTに変わった年。3Dのパビリオン、INSによる先進通信網、テレビ電話、キャプテン。それらはすべて来たるべき未来だった。
 1985年は希望の年だったのだ。
 その年に、サリュート7のことはどのくらい大きく報じられたのだろうか。
 日本を含む西側諸国はどうみていたのだろう。まったく記憶にない。
 それくらい冷戦だったのだ。

 いま、ロシアはウクライナに侵攻し、まるで20世紀が戻ってきたかのように深刻な世界戦争の危機にある。それは核戦争の危機だ。ふたつの核の危機だ。核兵器と原発破壊と。
 人類はいつまでこのようなことをくり返すのだろう。
 宇宙は広大で、人類はまだその入口にさえたどり着いていないというのに。

 映画「サリュート7」がどのくらい史実で、どのくらいフィクションなのか、ネットで軽く検索しても分からない。しかし、無人となっていたサリュート7が地上からの制御不能に陥り、それを復旧させるためにミッションが組まれ、不安定な手動ドッキングに成功し、修理ミッションを行なったのは事実である。そのひとつひとつに人間の知恵と勇気と他者への信頼が込められている。
 ちょっと調べれば最終的にどうなったかは分かるのだが、それは映画を見てからのお楽しみだ。
 最近ならば「ゼロ・グラビティ」を見て、楽しんだ人にはぜひお勧めしたい。

ボーンシェイカー ぜんまい仕掛けの都市

BONE SHAKER

シェリー・プリースト
2009

 3年ほど前に結婚してシアトルに移り住んだ著者シェリー・プリーストが19世紀のシアトルを舞台に発表したスチームパンクSFが本書「ボーンシェイカー」である。
 南北戦争開戦前夜、シアトルでは新たな黄金ラッシュが起きていた。永久凍土の下にあると想定される鉱脈の掘り出しをめぐって機械開発競争が起こり、発明家レヴィティカス・ブルーは「ボーンシェイカー」を開発する。1863年1月、ボーンシェイカーは暴走し、そしてシアトルで大規模な陥没が起こり、さらにはガスが噴き出してきた。このガスは「死病」と呼ばれ、次々に人は倒れていった。この濃密なガスのためシアトルの周囲には壁がつくられ、市街は切り離され、人々は壁の外、郊外に逃げ出すこととなった。そして、「死病」で死んだものたちは「死人」ゾンビとなって動き出し、その飢えた身体で新たな「死人」を生み出すのであった。
 郊外でも水や空気は汚染されていたが、なんとか浄化することで生きていくことはできていた。
 それから16年後のことである。南北戦争はいまだ続いていた。シアトル郊外で水の浄化工場に働き、一人息子を育てている女性がいた。名はブライア・ウィルクスという。ブライアは目立たないように生きていたかったが、世間はそうさせなかった。ブライアの夫こそが、ボーンシェイカーを生み出した男レヴィ・ブルーだったからだ。そしてもうひとり、ブライアの父メイナードはシアトル中心部からの人々の脱出劇のさなか、取り残されていた牢獄をひとりで破り、そこに取り残されていた犯罪者たちを死病から救ったのである。かわりにメイナードは死んだ。そして、レヴィ・ブルーもまたボーンシェイカーの暴走で死んだと考えられていた。メイナードは、その勇敢な行為故に英雄視されることもあったが、牢破りは犯罪者を野放しにしたと嫌われていた。そしてレヴィは、その名を口に出すこともはばかれるような死の張本人だったからだ。そのすべての「罪」をブライアは世間から追わされていた。
 ブライアの夢はひとつ、いつかお金を貯めて息子のイジーキエル、通称ジークをつれて誰も知らない遠くの街に移り住むことだった。
 しかし、16歳のジークは違った。メイナードは英雄視されることもあるし、生まれてからあったこともない父もまた英雄だったのではないか、と。真実を知るために、ジークはシアトルの壁の内側に入ろうと考え、そして実行した。
 息子に家出に気がついたブライアは恐怖し、息子を連れ戻すために壁の内側に入ることを決意するのだった。

 ということで、ガスマスクなしでは呼吸もできず、ゾンビあふれる19世紀のシアトルにまだ若いかあちゃんは反抗期の息子を追ってじいさんのガスマスクと銃とベルトを装着し、じいさんに救われた元犯罪者たちの力を借りながら飛び込んでいくのだった。
 果たして息子に再開できるのか、果たして生きているのか、そして、父メイナードと夫レヴィの真実は?
 と言う物語である。
 スチームパンクである。歴史を改編し、蒸気の時代から電気の時代に変わる科学と発明の時代にゾンビまで取り入れて、「母は強し」を見せつける。
 物語のパートは母ブライアの展開と、息子ジークの展開が交互に繰り広げられる。

 ひさしぶりにスチームパンクを読んだけれど、時代劇っぽくていいね。恋愛も友情もないけれど、義理と人情に満ちた世界である。スチームパンクはこうでなくっちゃ。

2022.11.6

配信番組「内村さまぁ~ず」16年

内さま http://uchisama.com/

2006年11月からインターネット配信番組としてはじまった「内村さまぁ~ず」。テレビ朝日系の深夜バラエティ番組「内村プロデュース」(2000年4月~2005年9月)の終了をうけて企画されたもの。当初はネット配信のみで、配信元もミランカ、内さま.comをはじめ様々な配信サービスで行なわれてきました。2009年からはMXテレビ等での再編集放送なども始まっています。2015年9月からはamazon primeが配信先となり、タイトルも「内村さまぁ~ず SECOND」に変更されました。2022年10月の#404でさっくりと最終回を迎えてしまいます。amazon primeとの契約更新がされなかったのか、また配信先を探すのか、再開はあるのか、これまでのアーカイブをamazon primeは続けてくれるのか? なんとか続けてほしいものです。
ところで、DVD化もされていて毎回3本ずつ出されており、各3作ずつ収録されています。2022年3月の最新版でVol.88を数え、累計で100万枚、2012年の40巻の時点でギネス記録にも認定されているのです。なお、第1巻は初年で3万部を超えていると配信中で報告されています。
私は、現在は地上波テレビは見ないし、他のバラエティ番組も見たいと思わないのですが、このシリーズだけは楽しみにしています。
今日的なコンプライアンスや価値的に問題になるものもあり、特に時々ある水着の女性の扱いは、どうなのかな、と思います。それらを除けば、力の抜けただらだらした動画で、だらだら感を笑いに変えられるところが実に良いのです。ドランクドラゴンの塚地さんも言っていましたが、見てもみなくてもよくて、ゆるいからこそ、疲れずに見ることができるというのが最大の特徴です。もちろん、いくつかの回には大笑いもあります。でも、そんな期待はしていないのです。同世代で芸能人として生きる人たちが、普段着的に楽しそうだなあと思うだけです。

さて、個人的に好きな回をピックアップしていきます。たくさんあります。
なお、健康診断回、有吉さん登場回、ダチョウ倶楽部回、ito回については最後にまとめています。それ以外は時系列。

2007.4 #11 何でも選手権!(イジリー岡田)
イジリーさんが頭真っ白になって呆然。

2007.4 #12 俺達!激写隊(有野晋哉)
「さまぁ~ず内村」の回。大喜利会。

2007.5 #13 俺達ちょいとムチャするぜ!2(キャイ~ン)
内村組のキャイ~ンと戯れるロケもの。内村さんの自家用車がいじられる回。

2007.6 #15 俺達そこそこアクターズ!!(アンガールズ)
スタジオでのシチュエーションもの。その後定番となる内村顔芸登場。

2007.6 #16 我ら、初老べからず!!(レッド吉田)
内P組のレッド参戦。全員40歳代にさしかかり身体的変化を老眼や片足立ちなどで自覚する回。それだけなのに、おもしろい。

2007.10 #23 東京喫茶店はしご旅(ビビる大木)
人気企画の1回目。「さぼうる」登場。そして、5年ぶりのビビる復活。

2007.11 #25 大自然クイズ(児嶋一哉)
のちの定番企画の第一回目。企画はさぐりさぐりだけれど、本気のクイズ大好きで熱くなる3人がみもの。

2008.7 #41  008年夏を先取り!愛車を徹底的に洗おうぜ!!(土田晃之)
内P時代にさんざんどっきり企画に使われた三村の愛車を掃除するだけの回。ほんとうに掃除するだけなのに。

2008.8 #44 江戸東京博物館巡りツアー!(バナナマン)
2022年4月から3年間大規模改修工事に入り休館となっている江戸東京博物館、その魅力をたっぷり? 本当はくいついて見学したいのに、そうはいかないバナナマンとの企画。やっていることは中学生男子。

2009.1 #54 さまぁ~ずのコンビ結成20周年を笑いナシで祝っちゃう男達!(千秋)
2008年に20周年を迎えた大竹と三村の足跡をたどるのんびりした回。

2009.5 #62 フリップその全てを知りたがる男達!(バカリズム)
後半の「顔文字」を使った大喜利大会が楽しい。

2009.8 #68 とにかく休みは欲しいけど いざ休みになると何をしたら良いのかよくわからない男達!(アンタッチャブル)
何もしない回。撮影用のレンタルハウスで5人がただただだらだらする回。俳優さんたちが数名でトークやミニゲームをするようなファン向けの番組はあるけれど、おじさんたちがそれをやるとこうなる。

2009.9 #69 町のサウナ屋さんぶらり旅(ビビる大木)
さまぁ~ずの裸祭り。サウナですから当然脱ぐ。内村笑う。

2009.12 #75 明日からイライラしないで過ごす男達!!(つぶやきシロー、ふかわりょう)
ふかわさんが入ることで、内Pなつかし感。最後には大喜利大会も。

2010.5 #85 老後の為に自分の体を知っておきたい男達!!(土田晃之)
神回。のちに何度も再現される「(だめ)だめ男」の登場。2007.6の#16以来の体力測定。40代は身体の衰えを自覚する時期か。

2010.6 #87 木本を待つ男達!!(木本武宏)
どんな大物ゲストでもやれるのではないか?という企画。地上波を見ないので知らないのだが、近年深夜にやっている「紙さま」という番組にも似たコンセプト。タイトル通り、不在の木本を待つ。木本の内さま別名「久保」初登場。

2010.7 #89 私・鳥居みゆきの扱いに少々困っている男達!(鳥居みゆき)
鳥居さんはその後レギュラー企画を持つのだが、初登場ではがっつり3人とからみ、3人が本気でぐったりする。舞台稽古で疲労気味の内村がさらに疲れる。

2010.7 #90 光良を待つ男達!!(オアシズ、有吉弘行、岡田圭右、狩野英孝)
舞台本番中の内村さんを待つさまぁ~ずと5人。いなくてもいないからこそ存在感のある男。2010年でもっとも視聴された回とか。

2011.2 #103 念願の場所でロケをする男達!(柳原可奈子)
ラーメンライスが食べたい!という柳原さんの願いを叶えるために、ラーメン店で大喜利、ゲームを繰り広げる4人。#101からは16:9の画角。

2011.2 #104 若手の得意分野を色々と知って たまに遊びたい男達!(キングオブコメディ、インスタントジョンソン)
若手紹介企画の最初の方。内Pさながらの大喜利大会。

2011.4 #108 全員守るべきモノができた男達!(レッド吉田)
大竹さんが結婚したことで、子だくさんのレッド吉田さんが「家族」について企画を用意。ふだん聞けない家族の話が次々に。

2011.6 #112 これからを見据えてナイツのテリトリーに入っておきたい男達!(ナイツ)
漫才協会理事で内村さんの事務所の後輩ナイツがお年寄りに受けるためのコツを3人に伝授。笑いもありますが人間の勉強になる。

2011.7 #113 来たるべき大竹一樹の結婚式が心配で心配で仕方がない青木達!(青木さやか)
異色回。ちょっと青木さやかさんが変。ウェディングドレスを着てテンション上がりっぱなしで、目が飛んでい…。

2011.11 #122 5人揃えば潰しが利く男達2011!!(バナナマン、さがね正裕)
このあとの回で何かあるたびに引用されることが多い回である。ここで内村さんが笑いのために右手首を痛め、その後完全な回復がない状態になる。#121と2本取りの2本目で全員疲れている中、異様にテンションが高く、怪我しがちな条件が整っていた。バナナマン、さまぁ~ずとの組み合わせは内P時代にも三村さんが膝を怪我するなど無理しがちなところがある。笑いのためだが悪い相乗効果だった。

2012.1 #125 僕・狩野英孝の2012年を何が何でも成功に導きたい男達!(狩野英孝)
お笑い芸人になるわけではありませんが、勉強になります。テロップ大喜利も。

2012.3 #129 俺達、さらに絆を深めちゃうぜ!(天野ひろゆき)
「企画で家電製品を買う」というだけですが、家族会議なしに購入するとなると本気で悩みます。その姿を淡々とお楽しみください回。

2012.6 #135 ちょいと一杯ひっかけたい男達!!(東京03)
極めて不真面目で、ある意味真面目な回。3人に収録前に酒を飲ませてお笑いの本音を聞き出そうとするという企画。酔っていいと言われれば飲むのが3人。果たして飲ませて良かったのか、お笑いの勉強にもなりますが。

2012.8 #139 屋台で懐かしい芸人としっぽり語りたい男達!!(ヒロシ、ダンディ坂野、長州小力、ゴルゴ松本)
おもしろいかどうかは別として、それぞれの芸人さんの仕事、生き方が垣間見える回。そしてゴルゴさんがバビル2世に。

2012.8 #140 今日ぐらいは照れずにパパの顔を存分に見せちゃう男達!!(土田晃之)
前年のレッドさんの企画に続き、大竹さんに第一子が誕生したことから、今回は子ども4人の土田さんを迎え、最初から最後まで家族トークのみの企画。笑いよりほのぼの優先。

2013.2 #152 内さまと相性が良いのは塚地なのか僕なのかをどうしても決めたい鈴木達!!(ドランクドラゴン)
前回の#151(バカリズム)の回で行なわれたパントマイムクイズ企画、ひとりだけが内容を知っていて、もうひとりがその内容に合わせて一緒にパントマイムをやり、内容を把握できていたかを問うもの。芸人の「伝える」能力の高さを知る。

2013.5 #158 中岡・谷田部の収録に対する姿勢をもっと前向きにさせたいコカドと坪倉とゆかいな仲間達!!(ロッチ、我が家)
やさしいプチドッキリ企画で笑える。

2013.7 #162 東京スナックはしご旅!!(ビビる大木)
「はしご旅」シリーズ。今回は都内のスナック3件。当然飲む。飲めば酔う。相手は酔客に慣れたスナックのママ。プロとプロの会話が秀逸。

2013.10 #168 無駄なく効率よく尚且つ面白い内村さまぁ~ず!!(原口あきまさ)
「企画中はノーカット」の条件でいくつかの企画を行なう。将棋、デッサン、トーク、耳かきなどなど。最後は本気の剣道。

2014.1 #175 可愛くて大好きな山根の結婚を照れずに積極的にお祝いしてもらいたい山根達!!(アンガールズ山根)
収録の頃に結婚した山根のお祝い会。めでたさを笑いに変える。

2014.2 #177 谷田部の結婚式を勝手にクイズにして参加した気になりたい男達!!(我が家)
山根に続き谷田部の結婚。こちらは坪倉撮影の結婚式プライベート映像を元に。

2014.2 #178 冬の東京にいながらにして、より少しでも南国気分を味わい、それを思い出に残しておきたい男達!!(木本武宏)
過去もっともハードなロケ。タレント、スタッフともに全員グロッキー。

2014.3 #179 先輩方から芸能界で生き残るコツを教わりたいハマカーンと後輩達!!(
フレンチブル、ハマカーン)
収録後半の「他人のものボケを全力でやる」企画初回。その後、ときどき出てくる企画ですが、いずれもとてもおもしろい。

2014.5 #185 超マジメなアンバランスを芸人として面白く再生してあげたい土田達!!(土田晃之、アンバランス)
中堅ながらなかなか活躍の場が得られないアンバランスのふたり。プチドッキリなどをしかけながら笑いのツボを探る。

2014.07 #189 尊敬する内村光良50回目の誕生日をグアムで楽しく祝いたい後輩達!!(
ウド鈴木)
2回目の海外ロケ企画。海外がうれしくて楽しそうにはしゃぐ。

2015.2 #204 有望な若手芸人の引き出しをガンガン開けたい男達!!(しゃもじ、キサラギ)
若手養成企画。大喜利、マイム、コントなどなど、たまにある内P的な内容。

2015.4 #208 伊集院とラジオを通して遊んでみたい男達!!(伊集院光)
ラジオ界の大御所となっている伊集院さんを迎え、ラジオコントの企画。地味でもほのぼの楽しい。

2015.5 #210 大先輩に追いつけ、追い越せ!今、伸び盛りの若手芸人達!!(流れ星、Wエンジン)
若手(中堅)養成企画。ぐだぐだ企画に穴埋め大喜利、内P的内容に、まじめな笑い論まで。

2015.11 #223 今回のロケを全てめくりに任せちゃう男達!!(バカリズム)
ここから「内村さまぁ~ずSCOND」となり 配信元がAmazonPrimeビデオとなる。特に内容に変更はない。

2016.4 #234 なんにも知らない鈴木拓をこっそり転がしながら遊んじゃう男達!!(鈴木拓)
ときどきある「裏企画」。表側の企画とは別に3人が裏企画で遊ぶというもの。鈴木拓プレゼンの裏でドミノ。

2016.4 #235 最近のインパルスと堤下の事情を知ってほしい板倉達!!(インパルス)
いろんな事情で初期の再配信なし、DVD収録なしの吉本興業所属芸人。Amazon配信になったことでやはりなんらかの事情によりこの回よりしばらく何回か吉本芸人が登場する。最初は内Pでも常連だったインパルス。

2016.7 #241 座卓の可能性を探りたい男達!!(品川庄司)
内P時代の常連登場。「座卓を使って遊ぶ」という男子小学生たちがやりそうなことを一生懸命やっては笑いに変える。

2016.8 #242 内さまと車座になって語り合いたいあの時の芸人達!!(パラシュート部隊、 髭男爵、X-GUNさがね)
内Pで華々しくデビューしたパラシュート部隊が凱旋、語る。

2016.10 #247 映画監督・内村光良を影ながら支えたいオレたち内村組!(ウド鈴木、インパルス・板倉、三四郎・小宮)
映画「金メダル男」(監督・脚本・主演、内村)の番宣的ではないが番宣の回。大喜利ます。

2017.1 #254 八百屋さんで1時間楽しんじゃう光浦達!!(オアシズ光浦、アンタッチャブル柴田)
内村休みの回。すなわちさまぁ~ず。

2017.4 #261 3人揃えば最強だと自負している男達!!(東京03)
内さまトリオとのトリオ対決。身体を張ってる。

2017.5 #263 今に始まった事じゃないけれど塚っちゃんの仕事の割合が俳優業に寄り過ぎているので芸人の勘が鈍っていないか細かく確かめたい鈴木拓!!(ドランクドラゴン)
内P会。わざとらし王に大喜利に、芸人引き出し王も。

2017.6 #265 初老だらけの超優しい陸上競技大会!!(岡田圭右)
2回目となる競技大会。バッティング王・岡田の伝説のはじまりです。

2017.7 #267 内さまの3人が身近な人達に照れずに「ありがとう」といってほしい勝俣達!!(勝俣州和)
中華料理店で4人が褒めあう。心に響けばポイントが。

2018.1 #279 新春ひねり出しかくし芸大会!!(ロッチ)
2017年の紅白総合司会がいじられる。

2018.1 #281 惜しまれながらも今年で閉店するお店はしご旅!!(ビビる大木)
恒例企画のはしご旅、今回は閉店するお店。ほのぼの回。

2018.3 #284 季節外れだけどこたつの良さの違いを痛感したい男達!!(千秋)
こたつを使って遊びます。

2018.3 #285 クイズで知るコカドの哀愁人生に同情して愛おしくなっちゃう男達!!(コカドケンタロウ)
ロッチのコカドさんは幼少から苦労している。実は大竹さんも。そして大喜利。

2018.8 #295 塚っちゃんの良い所を存分に引き出してドランクドラゴンの危機を回避したい鈴木拓!!(ドランクドラゴン)
大喜利あり。

2018.8 #296 超大自然クイズ直前!緊急強化会議!!(狩野英孝、TKO木本)
超大自然クイズファンならば必見。過去のクイズのすべてが明らかに。

2018.10 #300 我社の伸び悩む若手中堅芸人達をバーターで内さまに出演させたいハマカーン!!(ハマカーン、ビックスモールン、どきどきキャンプほか)

2018.11 #301 内さま300回記念を遅れ馳せながらお祝いしたいよゐこ達!!(よゐこ)
濱口が仕切り、有野が料理。思い出映像も。

2019.1 #306 新春ひねり出しかくし芸大会!!(ロッチ)
2年続けての同企画。2018年も紅白総合司会がいじられる。

2019.2 #308 西村とやすの無人島生活をクイズで楽しんじゃう男達!!(バイきんぐ西村、ずんのやす)
裸祭りです。やすが結婚したいと泣きます。

2019.5 #315 カミナリ一家を堪能しながらカミナリのコトを好きになっちゃう男達!!(カミナリ)
ときどきある「家族エピソード」もの。芸人実家のみなさんは明るい。

2019.7 #318 歯を治したことが芸人としてプラスしかないと気づいて欲しい和樹と浩信!!(三四郎の小宮 ずん飯尾)
印象を変えるために歯の治療をしたふたりプラス三村さん。赤裸々に語りますが、後半はぐだぐだな対決です。

2019.7 #319 内さまの3人に家庭持ちの良さを教えてもらいたい佳代子とあさこ!!(大久保佳代子、いとうあさこ)
赤裸々語り会。3人の家族のエピソード。笑えるけどほっこりします。

2019.7 #320 今こそ内さまに恩返しがしたいパラシュート部隊!!(パラシュート部隊)
内Pで事実上デビューした当時20歳のパラ部。内P後は福岡で活動し、いまや40歳。がんばっています。

2019.10 #326 いつの間にか阿佐ヶ谷姉妹マニアになれちゃう殿方さま~!!(阿佐ヶ谷姉妹)
3人が座って芸人のプロフィールやあれこれを大喜利しながら聞く会。このパターンは時々あるけれどゲストMC側のおもしろさが秀逸。阿佐ヶ谷姉妹だから。

2019.11 #328 内さまと一緒にものまね大喜利を繰り出したいものまね芸人達!!(原口あきまさ ほか)
原口さんの第二弾企画。2本取り前後編でものまね芸人が変わりものまねをします。その後たびたび使われる名言「そんなつもりで家を出てきていない」が初登場します。

2020.2 #335 過去最高にキレキレの武雅を体験してもらいたい塚地の武雅!!(ドランクドラゴン)
肉体を絞って体重も落とした塚地さんとの対戦もの。すでに古傷だらけの3人が無理したり、無理しなかったりします。

2020.4 #338 第7世代の勢いに負けちゃいけないとマネージャーが持ち込んだ企画に対して「何その心配!?」だったらやってやろうじゃないかと逆に奮起する三四郎とその同期達!!(三四郎、アルコ&ピース)
レジェンドから最新芸人まで芸の世界を語ります。

2020.6 #342 TKO木本のプライベートクイズを通して僕のコトをもっと好きになってくださる男達!!(木本武宏)
この回からリモート収録。初なので3人完全分離で行なわれます。パンデミック時代の試行錯誤開始。そして、TKO木下不祥事の後。まだ木本さんの出来事の前ですが…。

2020.6 #343 ようこそここへ! バーチャルスタジオ! 東MAXランド THE REMOTE!!(東貴博)
いつもは体育館で身体を張る「ランド」企画。リモートでできることを探ります。3人が同室仕切りありに変わります。

2020.7 #345 今度こそちゃんとVTRの続きを観て欲しいアンガ田中とワタナベエンタ芸人達!!(アンガールズ田中)
同企画の2回目。パンデミック前にリモートのような企画をしていたので、その続編。田中さんが罰ゲームでとんでもないハプニングに見舞われます。

2020.8 #347 超大自然クイズ直前! 第2回緊急強化会議!!(ずんのやす、スピードワゴン 小沢)
過去の「大自然クイズ」の記録を辿りながらこれからのクイズを考えます。

2020.10 #352 ボウリング大会を開催して大好きな女子プロボウラーの世界を知ってもらいたい素人ボウラー土田!!(土田晃之)
ソーシャルディスタンスが生んだ新たな試行錯誤の1作。3人のプロボウラーが登場し、4人のおじさんたちが身体を張って芸をします。内Pを彷彿させるどうでもよい感じの笑い回。

2020.12 #356 祝!結成30周年!よゐこの思い出クイズを通して僕らのコトを楽しく祝ってくださる男達!(よゐこ)
ウンナンと縁の深いふたりの30年をクイズで楽しむ。人に歴史あり、よゐこに南原あり?

2021.1 #359 唯一のホームである内村さまぁ~ずで思う存分やりたいコトをやりたいペンギンズクラブ!!(ペンギンズ、マツモトクラブ)
相談あり、クイズあり、ゲームあり。若手と3人が気楽に遊びます。

2021.2 #360 相方へのお悩みクイズを通してコンビ間の溝を埋めてもらいたい納言の幸じゃない方とラランドのサーヤじゃない方!!(納言、ラランド)
神回です。後半、大喜利大会で若手のひとりが内さまの導きで一気に成長します。お笑い私塾。

2021.2 #361 今日は私達のコトを知ってもらったり、相談したり、色々と教えてもらったり、とにかく3人にお近付きさせて頂きたいAマッソの加納と村上!(Aマッソ)
内村さんいじりの回になりました。

2021.4 #364 クイズを通して僕らの知られざる頑張りっぷりを知って頂きたいネバーギブアップ芸人達!!(スギちゃん、長州小力、ビッグスモールンのチロ、X-GUNさがね)
時々ある懐かし芸人回。ビックスモールンの話は心を打つ。

2021.5 #368 おじさん達もまだまだ若い子には負けないぞ!打倒!日向坂46!!恒例の体に優しいスポーツ対決(岡田圭右、日向坂46から3人)
アイドル初参戦で「終わりが近いのか?」と多くの人たちが不安になった回。

2021.7 #371 祝!結成30周年!キャイ~ンの思い出クイズを通して僕らのコトを楽しく祝ってくださる男達!(キャイ~ン)
よゐこの30周年(#356)に続く、うんなんファミリー30周年もの。懐かしい話が続出です。

2021.7 #372 THE・芸人騙し合いバトル!!(ビビる大木、ハナコ)
内P時代のバトルロワイヤルの改変版だが、大ベテラン3人対若手3人はちょっと若手に不利なのだった。

2021.8 #373 内さま3人と一緒に大喜利企画をやらせてもらいたい日向坂46!!(わが家・坪倉由幸、日向坂46から3人)
バラエティに慣れたアイドル3人との大喜利大会。意外とうまいのでおもしろい。

2021.9 #375 永野presents!今日から僕の妹分ももクロと仲良くなって下さる男達!!( 永野、ももいろクローバーZから3人)
ももクロまで登場。こちらもうまいこと大喜利やゲームで楽しめます。

2021.11 #379 第2回THE・騙し合いバトル!!(東貴博、納言・薄幸、乃木坂46から3人)
アイドルを迎えてのだまし合い企画。シチュエーションコント的な要素も加えて、可能性をみせてくれます。

2021.12 #382 活躍する場はテレビだけじゃない!今こそ内さまとラジオで楽しみたい男女達!!(アルコ&ピース、乃木坂46・新内眞衣、フリーアナウンサー赤江珠緒)
2015年の#208伊集院光以来のラジオコント回。コント性が高くなっています。

2022.1 #384 今日だけはコントについてとことん語り合って下さる男達!!(ハナコ)
コントトリオがコントの大先輩と真面目に語り合い、真剣にコントを繰り広げます。よい回。

2022.2 #386 私達も内さま3人と一緒に大喜利企画をやらせてもらいたい日向坂46・1期生達!!(日向坂46から3人、ロッチ・コカド)
アイドルを入れた大喜利会2回目。ゆるい感じの大喜利です。

2022.3 #388 結局の所、鳥居みゆきについてまだまだ何も知らない男達!!(鳥居みゆき)
鳥居みゆき回5回目、1本が前衛芸術映画のようになっている。

2022.3 #389 今日だけはとことん夫の話を聞いてほしい芸人の妻達!!(安めぐみ、近藤千尋、和泉杏)
安めぐみ降臨! 内P後期のアシスタントとして数多く出演していた「めぐのやす」が登場。異色の回で、笑いもあり、最後は号泣する人も…。

2022.4 #390 老後の為に自分の体を知っておきたいおじいちゃん達と元アイドル達!!(土田晃之、横山由依、北原里英、野呂佳代)
AKB48の元メンバー3人を加えた体力測定企画。12年前の同企画からどれくらい体力が落ちているのか。ついに「おじいちゃん」扱いになった3人。

2022.5 #393 モグライダーと内村さんの架け橋になりたい狩野とさまぁ~ず(モグライダー、狩野英孝)
内村の後輩若手を使って内村さんをいじる回。

2022.8 #399 大喜利休んじゃってごめんなさい!名誉挽回して内さまのご機嫌を伺いたい草薙航基とその相方!!(宮下草薙)
396、397はたくさんの若手芸人が登場する大喜利バスツアー。ところが、草薙は大喜利が苦手で本気で逃げてしまう。そこで反省とリベンジの回。もちろん、大喜利はやらない。
2022.9 #400 超大自然クイズ直前! 第3回緊急強化会議!!(ずん)
三村休み回。ということで400回の区切りは過去のクイズ大会の総まとめ。いろいろ3人の個性と特徴がでてきます。

●健康診断
内村プロデュース時代にも何回か行なわれた健康診断企画「そろそろ人間ドックで体の不安を解消したい男達!」、2008年より定番となる。最初のうちは「食道炎」程度で大騒ぎしていたがだんだん年をとっていくと告げられる病気(可能性)も深刻なものに。内村はこの結果をうけて喫煙をやめたが、三村、大竹は止める気配がない。解説役の医師が2回を除き同じ方で、一緒に年をとっていく感じがよい。2011年には内村が完全に禁煙する。2014年には三村が禁煙宣言する。2018年は三村の重病可能性があり精密検査で配信遅れる。三村は禁煙する。2019年、三村8カ月で禁煙中断。医師嘆く。2020年は大久保さんが濃厚接触者で電話出演に。三村の体調を医師が本気で不安がる。2021年は三四郎・小宮、アシスタントで登場した織田いちかさんが病気を読み上げる声と抑揚が実によい。あとは平穏かな。

2008.12 #52(日村勇紀)
2009.12 #76(出川哲朗) 神テロップ回。
2010.12 #99(つぶやきシロー)
2011.12 #123(出川哲朗)
2012.12 #147(つぶやきシロー)
2013.12 #172(鈴木拓)
2014.11 #198(澤部佑)
2015.10 #222(TKO木下、MCは木本)
2016.10 #248(ケンドーコバヤシ)
2017.12 #277(イジリー岡田)
2018.12 #304(東京03豊本、MCは角田)
2019.12 #330(狩野英孝)
2021.1 #358(オアシズ大久保…欠席、MCは光浦)
2022.1 #383(小宮浩信)

●有吉再生・再ブレイク
2007.12 #27 有吉の単独ライブを成功させよう!
再ブレイク直前の有吉。内Pの縁が有吉を蘇らせるか。
2008.7 #42 ザ・有吉弘行MCへの道!トークパラダイス
再ブレイクに入った有吉のMCおためし企画がある。
2010.4 #84 本当は有吉の様に思う存分毒を吐きたい男達!
地上波人気芸人となった有吉の本領発揮、過去2回とはまるで違う「こなれた」有吉の姿がある。
2015.9 #219 映画俳優風な仕事の合間にちゃんとお笑いの顔もお届けしたい有吉とレッド達!!(有吉弘行、レッド吉田 ほか)
映画の取材対応で忙しい3人を有吉が翻弄する。大喜利も。
2020.3 #336 どんなコトでも縛りさえあればたちまち面白くできちゃう男達!!(有吉弘行)
5年ぶりの有吉さん、TVバラエティ司会者として「まわし」が手慣れています。冠番組持ちの4人がただ小学生のように遊びます。後半はシチュエーションコント、内Pです。

●上島竜兵を笑い、偲び、そして
2007.12 #28 年忘れ!かくしていた芸大会
3人と上島さんがひねりだす「かくしていた」芸。ババロアを取り分けます。
2009.10 #72 今こそ上島竜兵という男について真剣に考える安田達!
上島さんがリーダーとしての飲み会「竜兵会」が盛んだったころのこと。
2015.4 #209 寺門ジモンに5人掛かりで勝利してとにかく黙らせたい男達!!
3人そろう初企画。ジモンと身体を張って対決します。
2019.8 #321 ここ最近の上島竜兵を内さま3人に知ってもらいたい土田晃之!!
プチどっきりで、居酒屋で後輩芸人と飲む姿をながめます。内さまの「良い人生だ」「もうすぐ死ぬのかな」という言葉が今となっては寂しく聞こえます。
2020.9 #350 結成35年のダチョウ倶楽部に1mmでも興味を持ってもらいたいダチョウの竜兵!!
5年半ぶりに3人揃って登場。トリオがお互いの不満を出しては語る内さま人気企画の真打ち登場。ソーシャルディスタンスで芸の多くを奪われた3人が、本気で語ります。すごく笑えるけれど、いまとなってはちょっと寂しい。
2021.4 #365 祝!還暦 とにかく上島竜兵をお祝いしたい男達!!
最後の出演回。後半3人がスライドショーを見て芸人としてちょっと感動します。
2022.10 #403 NEWダチョウ倶楽部を引き出したい内村さまぁ~ず!!
ふたりになったダチョウ倶楽部。最終回前の特別な回になりました。

●itoにはまる3人
2021.3 #362 おもちゃの国!宮下パークで童心に帰って遊び尽くしてほしいおもちゃマスター宮下!!(宮下草薙)
特筆すべき内容ではないのですが、グループ協調型カードゲームの「ito」初登場、3人がはまります。
2021.3 #362宮下草薙会でitoを知った3人。とくに内村。大喜利的な要素があり競争ではないところがはまった原因か?
直後 2021.3 #363の吉住、ドランクドラゴン鈴木拓回でも後半itoで遊ぶ。
そして、2021.5 #367では「第1回itoだけで乗り切っちゃう男達!!」と題し、TKO木本、三四郎小宮に加え、モデルの滝沢カレン、DJ松永というこれまでにないタイプのゲストを招いてゲームのみの回を行なう。
2021.06 #370第2回(バナナマン、ぺこぱ、久間田琳加)
2021.10 #378第3回(ラランド、生見愛瑠、本並健治)
その間に#374でもitoをやっている(宮下草薙、Aマッソ)
 パンデミック下の特殊事情も加わり、よいコンテンツを見つけたということではなかろうか。itoをゆるいバラエティ番組に仕立てたコツはそのテーマ設定にある。

アルファ/オメガ

THE FIRE SERMON

フランチェスカ・ヘイグ
2015

 私ごときがSFのなかの「文学」を語るのを身の程知らずと呼ぶのだろう。カズオ・イシグロさえ読んでいないのだから。
 本書「アルファ/オメガ」は仮想の未来を設定したSF的表現を持つ文学作品である。「SF」小説とはとても一言では定義できない。定義できないものをジャンル分けすることに意味があるとは思えない。それに「文学」とは広い意味で言えば言語表現をする芸術すべてであり、すべての小説は文学である。すべてのSF小説もまた文学である。
 じゃあ、ここでいう「SFのなかの文学」作品とはなにか?大胆にも私なりに定義するならば人間と人間社会の本質に迫り、深く思考や感情を揺さぶられ、時を超えて読み継がれる力を持つ作品ということにする。
 本書「アルファ/オメガ」はそういう作品性を持つ。日本では「SF」というカテゴリーに納めてしまうと読者層が限られてしまう傾向にある。そして、原題の「THE FIRE SERMON」は非キリスト教社会の日本では理解しにくいので邦題が「アルファ/オメガ」となったことも「日本のSFカテゴリ的」な意味ではしかたがない。

 本書は、人間とは何か、社会にはどんな問題があるのか、人間と社会の関係性についてSF的な要素を使い、戯画的に描き出した優れた作品だと思う。
 まず、簡単に設定を紹介しよう。
 かつて地球上で大規模な核戦争と思われる世界大戦が起きた。それから400年、人々は電気エネルギーをはじめほとんどの科学技術を放棄し、前近代的な階級社会の中で暮らしていた。
 人間のあり方にも大きな変化が生まれていた。夫婦となった女性は出産に際し必ず双子を産む。双子のうちひとりはアルファであり、ひとりはオメガである。アルファが男ならオメガは女、アルファが女ならオメガは男。アルファは健康で五体満足な人間であり、「人間」として教育を受け、社会に受け入れられる。オメガは生殖能力を持たずその多くが身体的欠損を持ち、生まれた両親をはじめ社会から追われ、オメガだけの村で貧しい暮らしを強いられる。ときにオメガの中には一見アルファと見分けが付かず予知や幻視といった特殊能力を持つものもいる。そのようなオメガの場合、アルファと区別がつきにくく、アルファとオメガの分離まで長い時間がかかる場合もあるという。
 このような社会で最も重要な要素は、アルファとオメガの双子の特別な結びつきである。幼い頃に分離された双子だが、どちらかが死ねばもう片方も死ぬ。どうしてなのかは明らかにされないが、確実に双子は結びついており、片方が病死すれば片方も弱って同時に死ぬ。片方が槍で殺されれば、もう片方はただその場で崩れ落ちて死ぬ。
 だから、アルファ社会はどんなにオメガが疎ましくても、オメガを殺すわけにはいかない。一方、たとえばアルファ社会の権力闘争で競争相手を殺そうと思ったら、その双子のオメガを探し出して殺すという暗殺方法も成り立つ。
 これが、作者フランチェスカ・ヘイグが生み出した世界のルール。

 この単純化された世界で、格差、差別、信頼、愛、肉親の愛憎といった人間と人間社会につきものの古くて新しい問題の数々が読者に提示され、迫ってくる。
 もちろん、難しい話ではない。
 そもそも、最終戦争後の社会という設定はSF小説のディストピア小説カテゴリーナンバーワンの称号を与えたいぐらいありふれている。
 最近読んだ「星々からの歌」(ノーマン・スピンラッド 1980)も核戦争後の地球を描き、戦前の科学技術のなかで原子力などの科学技術を放棄した社会を描いた作品だった。
 本作「アルファ/オメガ」の最大の特徴は、邦題通りの双子アルファとオメガという設定である。この部分は背景が説明されておらず、現段階ではファンタジーとしか言えないものであり、ハードSFとは言えない必ずしもSFとは言えない設定である。この点のアラを掘り出すとキリがない。科学的背景があるならば、双子の結びつきはどうやってできたのか?そもそも双子のうちひとりしか生殖能力がなければ少なくともアルファの女性は生涯に最低でも2回以上の出産を行なわないと人口が減ってしまう。わずか400年ですべての人類がアルファ/オメガ関係に進化?するには…などなど。
 だから、この部分はファンタジーとしておいておくしかない。
 その上で、もしこのような社会だったらどんなことが起きるのか?
 それは、いまの私たちと違うのか?

 物語は主人公のオメガの女性の一人称で語られる。彼女は幻視者であり、その双子のアルファであるザックは長じてアルファ社会の支配組織であるカウンシルの重要メンバーとなっている。ザックによって捉えられた「わたし」が幽閉から逃げ出し、オメガが自由に生きられる「島」を求めて旅をする物語である。その旅の中での出会い、明かされゆく社会の実相、自由への希求。それらがていねいに語られていく。
 人の属性をもって差別し、迫害し、日本語的に言えば「いじめ」という犯罪行為を行ない、言葉で、態度で、暴力で傷つけていく。本書では属性によっては他者を見ない主人公が救いとなる。主人公の「わたし」がいなければ、人間の悪い面ばかりを見ることになる。もちろん、「わたし」を助ける人たちに人間の善き面を見ることもできる。しかし、それも「わたし」あってのことだ。「わたし」の行為と選択をともに冒険しながら考えて欲しい。

 旅の終わりに彼女が得たものとは。物語はひとつの区切りを迎えるが、その余韻は大きい。そう、本作品は3部作なのだ。とはいえ、2015年の翻訳時点では未発表ではあるが、2022年現在3部作はすべて発表済みである。
 映画化の話もあったようだが、現段階では進んでいないようである。
 できれば3部作、出して欲しいなあ。英語で読むしかないですか?

2022.10.16

緑の星のオデッセイ

THE GREEN ODYSSEY

フィリップ・ホセ・ファーマー
1957

 65年前の作品かあ。初訳が1970年、52年前。それだけ前の作品だと言葉や訳語にも現在では使われなくなった単語なども入ってくる。古い作品を読む際には、その時代背景などもある程度頭に入れておかないとそもそも読めなくなってしまう。

 はるか未来の物語。宇宙船の事故により地球人アラン・グリーンは見知らぬ惑星に不時着し、そこで捉えられ、支配者である貴族の妻の奴隷として多忙な日々を過ごしていた。奴隷頭としての多忙な仕事、貴族の妻に要求される夜のお相手、さらに、自由奴隷となっている美貌で商才を持ち、嫉妬深い妻アムラとの楽しくもうっとうしい暮らし。
 そう、宇宙で人類型の種族は決してめずらしくなかった。おそらくはるか昔、高度な科学文明を持つ人類の祖先が各星系に植民し、そして何らかの理由でそれぞれが孤立して科学文明を失い、いくつかは再興したのであろう。
 地球は、アランが落ちた惑星よりも一足先に再興していたのである。
 この惑星は、草の海の惑星であった。水の海もあるが、大陸はおよそ平たくそろっており、草の海となっている。雨も規則正しく降り、アランにとっては不思議な惑星であった。
 しかし、それを調べることもできない立場にあった。
 この惑星の人々は、中世都市国家ごとの支配が確立しており、草の海を風を受けて「船」が行き交い、貿易を行なってきた。そのような世界ゆえに伝説や怪異な言い伝えにも満ちていた。
 ある日、不思議な人間がアランがいる都市とは別の都市に空から2人降りてきたという。その怪しさ故に捕縛され、殺される可能性があるという。しかし、アランは気がついた。このふたりは地球の宇宙船に乗ってきた人たちであろうと。それは、アランがこの未開の星を離れ、地球に戻るための希望だった。
 アランはこのふたりを救い出し、自分自身が地球に戻るため、草の海に冒険の旅に出るのだった。

 壮大な宇宙史のひとつのエピソードみたいな物語なのだが、単発の小説である。草の海のある異世界での冒険ファンタジーといったところで、草の惑星、そこを疾走する帆船という絵になる設定を除けばSF要素は少ない。しかし、「この惑星の謎」が物語の後半を盛り上げてくれる。50年代SFのひとつの頂点であるのだろう。

「人類」の祖先種族がいて、生殖可能な「人類」にみちた宇宙という設定は、かつてのSFには多く見られている。それは、一方にベム(怪物)的な宇宙種族と人類との闘いという設定があり、その荒唐無稽さに対する「大人の小説」指向でもあったのだろう。
 実際、ファーマーは当時のSFのタブーとされた性表現を取り入れたことでも知られている。本作は性表現こそはほとんどないが、貴族の妻とその奴隷としての性関係に、自由奴隷として貴族、別の都市国家の王子、商人の子どもを育て、アランとの間にも子どもを産んで育てている妻が登場し、そのアランと彼女の社会的な制約の中での性的な奔放さを伺わせている。SFに一歩大人の階段を上らせたのがファーマーだと言える。
 再版されることはないと思うが、できればファーマーをまとめて読んでみたいものだ。

 なお、本作はあとがきによると1957年当時「裸の太陽」(アシモフ)、「夏への扉」(ハインライン)と並んで評価されていたSFとのこと。

(2022.9.26)

ヘリックスの孤児

WORLD ENOUGH & TIME

ダン・シモンズ
2002

「ハイペリオン」シリーズで著名なダン・シモンズの中短編集。ダン・シモンズはとてもストーリーを語るのが上手で、でもってちょっと苦手な作家でもある。もちろん「ハイペリオン」4部作は何度も読み返したくなる素晴らしい作品だし、20世紀SFの頂点のひとつと言ってもいい。それ以外の作品は実はほとんど読んでいなくて、いつか機会があれば読むのかも知れないけれど優先度は低かったりする。あくまで個人的嗜好の問題で、シモンズに何か問題があるわけではない。
 この作品集には、なんと作品ごとに著者による解説序文が付いている。しかもたっぷりと。良いか悪いかは別として、ついている。作品とは関係ないエピソードもたっぷりだが、それもまた「全体を見よ」とささやく(いや、叫ぶ)ダン・シモンズの思いの表出なのだろう。もしかするとそういう圧力を感じるのがちょっと苦手なのかも知れない。

 さて、読み終わってから気がつくのはいつものことで、表題作「ヘリックスの孤児」はハイペリオンシリーズの番外編、その後を描いた作品である。これはロバート・シルヴァーバーグが人気SFシリーズの番外編をその作家に書いてもらう企画によるもので、「SFの殿堂 遙かなる地平」の2巻に収められている。だから一度読んでいる。
 本作品は4部作を読み終わり、その最後の鍵である「共感の刻」を理解していないと設定がよく分からない。そもそも遠未来で人類は変容しているので、それを知らなくても読めるが理解に及ばない。だから、まず「ハイペリオン」シリーズを読んで欲しい。絶対。おもしろいから。
 以下、簡単に作品について。

ケリー・ダールを探して…かつての教え子だったケリー・ダールを探す主人公。不思議な時間と空間のゆがみに捉えられてしまう。ちょっとブラックなファンタジーであり社会風刺でもある。そしてテーマのひとつが「共感」

ヘリックスの孤児…遠い未来、新たな居住地を求めてAIが操船する宇宙船に眠る人々。AIが数人のクルーを起こすのは対処が必要なときだけ。その星系には人類の末裔がいて、そして問題を抱えていた。

アヴの月、九月…イリアムシリーズの前日譚で、古典的人類がポスト・ヒューマンによって実体的な絶滅を定められた最後の日々を描く作品。一方で過去のユダヤ人排斥(虐殺)をモチーフにした作品でもある。

カナカレデスとK2に登る…登山家のお話。3人の登山家がK2をめざす。ある出来事があり、国連から南極を居留地としている異星人のひとりを同行させるよう求められる。カマキリ型の異星人カナカレデスと3人がひたすら真剣にK2登頂をめざす。

重力の終わり…元は映画シナリオとして発案された作品。アメリカの作家兼ライターがロシアの宇宙開発の実際を取材する。通訳には現地の元(宇宙)航空専門医の女性がつく。そして新年を迎える。どことなくタルコフスキーの「ソラリス」的世界で、「ノスタルジア」的映像を感じる独特な小品。

 全体を通して、シモンズがテーマにしているのが「痛み(喪失)と共感」であることがはっきりする。とりわけ最後の2篇にはその要素が強い。そして、主人公たちは、意図せず結果的に「共感」を得るのだが、その過程である自覚はなく、ただ内面的・外面的に苦しみを自らに課していくのである。

ウォー・サーフ

WAR SURF

M・M・バックナー
2005

 悪夢のような世界の、悪夢のようなエンターテイメント小説である。
 舞台は2253年の地球。
 主人公のナジールはすべてを生き抜いてきた男性。2005年生まれの248歳。推定余命50年。
 ナジールはすべてを持つ男。大企業の重役で資産家。すべてに贅をつくしており、それ故にすべてに飽きていた男。
 このナジールが、2233年頃に生まれた20歳の女性シーバに出会い、入れ込みすぎて、すべてが狂い、救済される物語。

 むかつく物語である。なぜなら、読み手である私は他のほとんどの人間たちと同じく奪われる側の人間だから。それでも、SFだから読む。悪夢のような世界について知るために。

 この2253年、すなわち23世紀中盤の地球は最悪の環境にある。地球の大気は呼吸に不適切なほど汚染され、海もまた気候変動の結果陸上から流れてしまった様々な汚染物質で汚れていた。しかし、地球人口は120億人、年2%の人口増加。年4%の天然資源不足。
 世界の通貨はドイッチェ。株式市場や金融市場は健在。世界秩序は国連、とりわけWTOがになっているが、実際に世界を動かしているのは少数の大企業である。世界は大企業の経営者-被雇用者、それ以外の人間で成り立っていた。企業は正社員となっている従業員を原則的に終身雇用しその子孫も支えることになっているが、その結果として企業は疲弊するため「削減を余儀なくされる」のであった。社員を辞めさせられず、「削減」するためにはどうすればいいだろうか?考えてくれたまえ。
 このような社会になった背景には、2057年の「クラッシュ2057」がある。200年前のできごとだ。気候変動による壊滅的で急激な気象災害が発生し、それを引き金に世界的な金融恐慌が起こり、すべてが失われたのである。
 ナジールは当時52歳、資産、家族、すべてを失った後、世界を再建し、企業を、市場を、経済を安定させるために全力を尽くして働いた。その成果が2253年の今である。
 退屈な日常の中で、同世代の5人の長命男女は「苦悩組」と自らを名乗り、「ウォー・サーフ」にのめり込み、世界トップの座を守り続けていた。
 ウォー・サーフ。それはこの世界で人間が起こす戦争に最も近い形、企業従業員によるストライキを使って行なう肝試しである。企業従業員は何らかの理由で企業に対しストライキをしかけることがある。企業側はあらゆる手段でストライキを解決しようとするが、それは企業の警備機構と組合側の武力闘争となることも多い。つまり内戦のようなものである。そのエリアは近接、立ち入り禁止になるのだが、「苦悩組」をはじめとするウォー・サーファーたちは、そのエリアに近接、侵入し、自らが宣言したタスクをこなし、無事脱出することを競う。そして、自ら撮影したその動画の再生回数や内容が裏ネットのランキングとして評価されるのである。
「苦悩組」はナジールを中心とした資産と情報力に裏打ちされた装備と計画で常に最高のサーフをこなしていたのだ。もちろん違法サーフであり、「苦悩組」の中の正体は匿名化されている。
 ここまででも結構醜悪な話である。持たざる人々は企業従業員という地位を確保するのが生存の死活問題になるが、それは企業に生存のすべてを従うことを意味する。そして企業に要求を求めることは、内戦と同じようなものであり、絶望の闘いでもある。
 ウォー・サーフとは、それを自分達のアドレナリン興奮のための遊び場にするのだ。
 すべてに飽きた者が、命をかけることで得られるぎりぎりと快感のための遊び。
 物語の視点は、ナジールである。持てる者の視点。

 しかしナジールはシーバに夢中である。執着という言葉がぴったりである。本書の半分はナジールによるシーバへのストーカー的な執着である。
 そのシーバにいいところを見せたいがためにシーバが関心を示したウォー・サーフにシーバを参加させ、当然のことだがサーフを失敗する。
 失われた「苦悩組」の評価と、傷つけられたプライドがナジールを追い詰め、「天国」へのサーフに向かわせる。
「天国」、それは軌道上にある人工衛星A13の俗称。食料製造に欠かせない糖たんぱく合成品を製造する企業衛星だが、長年にわたりストライキにより立ち入り禁止措置がとられている。具体的な情報は企業から出されておらず企業の警備宇宙船が出入りする者がないかを監視し続けており、近接する者は無条件で攻撃を受けることになっている。
 世界最高のサーフポイントとして位置づけられるが、軌道上にあることを含め、誰もサーフに挑戦していない憧れのポイントである。
 ナジールはシーバらとともに、「天国」をめざし、そして…天国の中には、地獄が待っていた。

 ここから先は書かないでおく。物語の本編はここからである。
 本書に登場するガジェットは様々あるが、地上、海中、軌道上の構造物の描写、長命を維持させるための様々なバイオIT技術などの描写はていねいであり、物語に迫真性を与えている。とりわけ、天国における人工重力のつくりかたとそれゆえの行動の特殊性は他にはない魅力かも知れない。これまでも恒星船やスペースコロニーでの人工重力とその勾配にともなう物語はあったが、本書のそれは結構複雑である。
 大オチに向かっては、「それはないわあ」というご都合的なところもあるが、ご都合的なものあってのSFでもあるのでご愛敬だ。

 さて、むかつきに戻って。たしかに21世紀初頭のいまでも世界は単純に言えば二極化している。「持てる者」と「持たざる者」である。もちろん、二極化したと言っても、その階層は複雑ですごく持てる者とそれ以外、ちょっと持っている者と、それよりは持っていない者など線引きは単純ではない。先進国と後進国、北半球と南半球、資本家と労働者、政治家と有権者、大国と小国、大企業と中小企業、大人と子ども、男性とそれ以外、老人と若者、金持ちと貧乏人、指揮官と兵卒…。
 問題は、世界のあらゆる局面で平準化する方向に動くのではなく、格差を拡大する方向に動く力が大きいということである。平時でも、災害が起きても、戦争が起きても、経済危機があっても、常に格差を縮めるのではなく、広げているのだ。
 そのなかで、資源を食い潰し、環境を汚染し、環境に依存する資源を失わせ続けている。
 そのことを「持てる者」の視点で強烈にぶつけてくるのが本作の力である。
 後味は悪いが、小説としては優れた力を持っているのだろう。
 フィリップ・K・ディック賞を取っているのもうなづける。

2022.9.4